プロが無知は罪
- 2011.09.08 Thursday
- 00:00
再開したBar道の初っ端が妙な角度のテーマからスタートしたのには以下のような経緯がある。
先日、とある同業者とフルーツの表面処理についての話になった。
もう少し具体的に話の流れを説明すると、
まず、「サヰキさんはグラスに付いたワックスってどうしてます?」という彼の質問に対して、
私が「サヰキ」でそもそもフルーツをどう下処理しているかを説明したのだが、
話を聞いた彼は、
「そんな面倒なことしなくてもグラスについたワックスってシンナーとかラッカー系スプレーで簡単に落ちるんですよ?」
と語った。
知らないんですか?って感じで。
ちょっと得意気に。
私は愕然とするより他無かった。
そもそもグラスにどうのが問題じゃない、てか、いや待て。
容器に決して口にしないでくださいと書かれているようなもんが漂う液体(カクテルとは呼ばないよ)を飲ませた挙句、
その洗浄にこれまた石油類だ危険等級だと書かれている有機溶剤なんて劇薬を使う君はいったい何屋だ?
目的はなんだ?
聞けばその子が尊敬する先輩バーテンダーが得意気にバーの裏技的なノリでブログに公表していたそうだ。
まぁ、そんなもんだろう、Barの、広島の、現状というものは。
怒りを通り越して呆れると同時にひどく納得もしてしまった。
少し風呂敷を広げるが近頃飲食業界ではちょっと常識的にはありえないほど低いレベルながら、
その被害は実に甚大という事件・事故が増え続けている。
その原因には、人様に口にして頂く物を扱う職業としての、何か根本的で本質的なところが決定的に欠けているのに、
一足飛びにいきなり高尚な精神論で客を騙すような商売が横行しているからのように思えてならない。
少々厳しい言い方をすればそこを見抜けない消費者にもまったく責任が無いとは言えない気がする。
事実、そんな店ほど評判は良かったりするわけだし。
と、偉そうに論じてみたところで残念ながら私に世直しをするほどの力は無い。
そもそも私自身、知らないことのほうが多い、まだまだ道半ばの人間だ。
だがしかし、それでも正しいと思うこと、言いたいことは綴っておこうと思う。
嫌だからだ。
今はそうとしか言えない。
追記
なにか誤解されると怖いので断っておくが私は特別「無添加食品至上主義者」ではないし、
人が手前の都合で便利な食を営みたいなら多少のリスクは覚悟するべきとさえ思っている。
私生活において自分が口にするものなら少々痛んでいようが「もったいない」のほうが優先されるし、
3秒ルールも適応される、どちらかといえば大雑把な部類の人間だろう。
ただ、これが仕事となれば話は別ということ。
そういうことなのだ。