美味しいって何かね?

  • 2011.09.15 Thursday
  • 00:00

 一飲み手として、どうも一般的にフルーツのジュース、特にショートカクテルに使用するレモン・ライムのそれというのが、


「酸っぱい、エグい、香りきつ過ぎ」と感じるのは、

いや、香りに関しては効かせるべきにはそうすべきにしても、


はたして本来あるべき姿なのかとは長年抱いていた疑問である。


だがしかし、ずいぶん偉そうに講釈をしておいて、それはさぞ美味しいカクテルを作るのだろうな?


と問われると、プロとしては本来よろしくないのであろうが、いささか自信がない。



それでなくとも私はBar巡りが好きな人間なのだが、


今回のオープン前に際しても、ただ飲みに行くという趣味的意味合だけでなく、


生意気にも市場調査と勉強という観点も含み結構な件数の店に立ち寄らせていただいた。


たとえば本文でも例に挙げたサイドカー。


今回はそもそものレシピの問題点については触れないが・・・


正直な感想を言うとほとんどの店が酸っぱくて苦味を含み、やたらとレモンの香りが前面に出ているように感じた。


ピールをする店がそこそこあったのにも驚かされた。


しかし、これも、そもそものレモンの下処理だ安全性だを無視して良きように言えば、


酸味が効いてキリッとした、少しビターでレモンの香りに満ちた一杯、と言えなくもない。


そう言えば、加えて「美味しいでしょう?」とか、


このカクテルが「美味しいわけは・・・」などと解説を加えるバーテンダーが多いのには閉口した。


かのようなサイドカーを飲まされて、


「僕のシェーキングは普通より空気をよく含ませるんでまろやかになるんです。」


などという講釈を聞かされた際にはどうしたものかと困ってしまったが、


多くのお客さんは「ホントダマロヤカー」となるのだろうか?


いや、なるのだろうな。



となると、私のサイドカーとはいかがなものか?


サイドカーで生かすべきはまずブランデーの香りと風味であり、これを引き立てこそすれ邪魔にならぬよう、


レモンの酸味とホワイトキュラソーの甘味をもってして調和を図るカクテルと考えている私のそれは、


よく言えば、まろやかでコクがありブランデーとその他の風味が一体となっていながら、飲み口はすっきりした一杯かもしれないが、


いや、ちょっとよく言いすぎか?まぁいい、


先の店のそれと比べ、ましてやそちらが「アリ」だという立場から評すれば、


レモンの香りの足りない、飲みやすいだけでメリハリの無いぼやけた味となるかもしれない。



よく、本当に美味しいものであれば、それを知らない人でも開眼するような描写の物語というのがあるが、まぁ現実にはあり得ない。


「なんだ!こんなに美味しいサイドカーは初めてだ!」


「ふっ、アンタの飲んできたサイドカーなんぞはサイドカーでもなんでもない!俺に言わせりゃサイドもなければカーもない!チャリだ!ママチャリだ!


 そもそも奴等はレモンの下処理も知らない!スクイザーなんて道具の使い方もだ!ましてやレシピを漫然と眺めて、


 そこに内包された進むべき道の考察もせず、安易な方法で違いを演出しようと、今流行のちょい足し的発想で!ピールを加え満足しているような!
 
 そんなグラスと比べられては迷惑だ!」


「くっ、私は今まで何を飲んできたのだ・・・。」


とはならないのですな。


「これ、なんか違う。」で終了。


まぁ、そんなもんです。


味覚ってものにはやはり習慣とか記憶というものが大きく関与するものであって、違う=美味いとはなかなか感じられず、


むしろいつもと違う味は不味いと判断されるほうが圧倒的に多い。


それでも方向性はともかく、先の例のようなサイドカーに慣れた人に美味しいと言わせるなら、


苦味と酸味とレモンの匂いをさらに効かせたインパクトのある一杯を出したほうがその可能性は高いわけです。


私的にはそれはもうサイドカーでもなんでもないのですが・・・。



恥ずかしいものを出してはいない自負はある。


ましてや安心して飲んでいただける一杯のための考察と努力に関しては手間を惜しまず努めている自信もある。


だがしかし、だが、しかしなのだ。


「味」などという得体の知れぬ存在と向かい合ってから、もう二十年になろうとしているが、


いまだ美味の樹海でさまよい続ける日々である。


 


余談ではあるが私は面の割れてないBarであれば決して同業者ですか?などと聞かれることはない。


そういう飲み方をさせればとても上手にこなす自信がある。


いくつかのパターンがあるが、よく使う設定は、


今日は友達と飲んでいたのだが解散となり、もう帰ろうとしていたところ、


たまたまBarを見つけ、そう言えば以前に上司に連れて行ってもらったことがあるし、


いつか一人でこういう店に行ってみたいなぁと思っていたので、ちょっと今日は勇気を出して入ってみました、


というBarに不慣れだが常識はある独身男性A、といったもの。


店内を眺める目線、カウンターでの在り方、飲む酒のチョイスなど、


その挙動や所作には細心の注意を払いながらも決して不自然にならぬよう気をつけねばならない。


意外と楽しい。


本当に余談でした。

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