このマンガが(ある意味)すごい!

  • 2019.09.04 Wednesday
  • 23:22

 

Bar関連の漫画といえば「レモンハート」?「バーテンダー」?

 

いえいえ、今回は知る人ぞ知る(知ってる人に会ったことが無い)通好みの作品をご紹介いたしましょう。

 

 

「炎のバーテンダー」全四巻 漫画:モリ淳史 監修:梶 隆盛&FUJITA BAR(三巻より協力:梶 隆盛)

 

 

「概要」

 

本作品の執筆のために初めてBarの取材を開始した(表紙カバーの作者コメントに記載あり)程度のズブの素人が、しかし強気に「こんなものだ」と決めつけて進める話の内容は、とにかく強引にして支離滅裂。

 

酒に関するウンチクやBarの何たるかを学べる要素など皆無に等しい。(ただし最終エピソードの「大きな組織の絡んだコンクールの類なんざ大体が出来レースですさかい」に関する取材量と緻密さだけは妙にリアリティがあると同時に他作品では決して取り扱えないテーマゆえに色んな意味でスゲー)

 

どころか、それを置いても転がしようはありそうなヒューマンドラマの部分でさえ、ヤベークスリでもキメてるんじゃないか?という勢いで一人残らず情緒不安定な登場人物達のあまりにもエキセントリックな言動についていけずに理解不能。

 

こうまでワケがわからないとむしろ非があるのはこちらのほうなのではなかろうか?と自信喪失してみたり疑心暗鬼に陥ってみたりでとにかくまぁたいへん。

 

視覚的にもまた、登場人物のことごとくがまるで常人の半分ほどしか関節を有していないかのように描かれた、どこかしら不自然かつ不安定な画風によってますます不安が煽られる。

 

総じて、正面から真面目に組み合うと人の生業を茶化されているような気にもなり不愉快ではあるが、一周まわっておおらかな気持ちで眺めればツッコミどころ満載のネタ漫画として重宝する。

 

 

「ストーリー」

 

本作の特徴の一つとも呼べるのだが、最終的には打ち切り状態で幕を閉じたためじゃなくても途中で伏線をあまりにも散りばめ過ぎていたくせをして見事なまでに何一つ回収できていないので物語と呼べるほど一貫した筋道は存在しない。

 

せめて最初のエピソードのみ簡略化してご紹介。

 

 

しゃかりき頑張るバーテンダー見習の「石丸涼子」は友人の誘いで訪れた歌舞伎町のホストクラブで何やら場違いでやたら酒に詳しそうやら誠実そう、と思いきやとんだ二重人格のサイコパス野郎だった「城嶋炎」に出会う。

 

後日、涼子の職場「ホテル・ニューオオタキ」の最上階にあるバー「ルレーヴ」に欠員補充として支配人のツテでやってきたのはなんとその城嶋であった。

 

そして、入店初日、早速トラブルが・・・。

 

超騒がしい迷惑DQN三人組が来店し店内は混乱、他の客は帰ってしまう。

 

城嶋の実力を探るためか支配人は「このトラブルを見事解決できればポケットマネーで給料を倍にしてやるからなんとかしてみろ」とかすっとんきょーなことを言いだす。

 

城嶋は一旦退店し客のフリをしてDQN達にからむ。「お前たちは酒の味も飲み方も知らねぇ、本物を教えてやるから表に出ろ、んで50万円かけてワシと勝負しろ!」(←もうこのへんからバーテンダーとか一切関係ないけど気にしてたらいけない)

 

それまでの会話の内容から彼らがマグロの遠洋漁業から帰ってきたばかりの羽振りの良い鹿児島出身者であると見抜いた城嶋はホテルの中庭に誘い出し、そこで魔法のごとく用意した枕崎産のカツオの刺身とタタキを鹿児島ではメジャーなフンドーキン醤油で、またやはり鹿児島のプレミアム焼酎・森伊蔵の水割りを高級薩摩切子に注いで振る舞った。

 

DQN達はえらく感激するも突然「こいつ目分量でテキトーに水割りを作ってやがるぜ!」と妙な角度から激怒。

 

しかしDQNのボスだけは城嶋が目分量のはずなのに毎回寸分違わぬ正確な割合で水割りを作り続けていることを見抜き、逆に仲間達にブチ切れ。

 

やれやれオレたちの負けだぜ、みたいになってえらい大金を置いてDQN達は去っていく。

 

傍らで見守っていた涼子も「な、なんてスゴイハンドメジャー・・・」とガクブル。

 

ね?

 

ワケがわからないだろう?

 

大丈夫。

 

私もそうだから。

 

 

「登場人物」

 

城嶋 炎

 

本作の主人公、28歳。

 

誠実な優男と粗暴な無頼漢という二つの顔を併せ持つが切り替えのスイッチがポンコツで毎度タイミングが意味不明なため、ただの情緒不安定。

 

全てを見通し万事を知り得たようなしたり顔で過ごしているがいったい何が分かっているのかが分からない。

 

ともあれあらゆるトラブルを最終的には解決できなくとも収束させるだけの能力は主人公補正として持ち合わせているため、なんとなくデキル男な感じでいる。(決着の最終手段に用いるのはだいたい暴力だったりするが)

 

いわゆる「すごい過去」の持ち主であるかのような描写が多いものの何一つ明かされないまま物語が終了してしまったために全ては謎。

 

初登場時に歌舞伎町でホストをしていた経緯も謎だが、それ以前を描いた唯一の具体的なエピソードとなると、その四年ほど前にはバリ島のジンバラン地区にある小さなBarのカウンターに民族衣装を纏って立ち、グーパンで客の鼻をへし折っていたという。

 

いや、もうわかんないっスよ、オレだって。

 

バーテンダー、だそうです。

 

 

石丸涼子

 

本作でサンドバッグを演じる絶望的に色気がないバーテンダー見習いの21歳。


本来は朝ドラの頑張るヒロイン要素を兼ね備えた恋仲候補としてキャスティングされたはずが低空飛行どころか水面に浮上することすらないまま全方位から降り注ぐ一方的な災難に見舞われるだけの存在に終始してしまったので気がつけばただの被害者。

 

多少の憶測もあるが、恐ろしく貧乏な母子家庭に育ち、極度なツンに対してオマケ程度の不器用過ぎるデレしか持ち合わせていないネグレクト気質の不憫な母親に自分を認めてもらうため、という独創的にも程がある思考回路から生み出された残念すぎる動機に支えられてバーテンダーを目指しているらしいが発想から選択から何もかもが間違っていると思うの。

 

ちなみに静岡出身の彼女が初めて作ってみたオリジナル・カクテルの名前は「駿河ファンタジー」。

 

うん、がんばれ。

 

 

マリ

 

脱線した涼子の代わりに足りない女っ気を補うべく三巻から投入されたクールビューティー(という設定にしたい願望が滲み出ている)キャラであり、その登場巻では涼子ですら成しえなかった表紙を飾る大役を果たすもそれっきり登場することがなかったという遅すぎたテコ入れ要員。

 

城嶋とはただならぬ過去があるようだが、そろそろお察しの通り何一つ語られることなく作品が終了したため全ては謎。

 

銀座に自分の店を構えるも経営に困窮した挙句、輩とつるんで女性客を泥酔させては猥褻な写真を撮り、それをネットで売りさばいて生計を立てているという度し難いド畜生なのだが本作中においてはこんな人外であろうともバーテンダーなのだそうで。

 

最終的には自身もある意味被害者的なニュアンスを出しつつも反省しーの心を入れ替えーのでテヘペロして一件落着、めでたしめでたしお咎めなし。

 

おい、ウソだろ?

 

 

城嶋の父

 

博多でBarを営んでいる炎の父親だが親子の縁は切っているらしい。

 

現在、炎が勤めているホテルバー「ルレーヴ」で十年前に支配人をしていた過去があるが上司と衝突した挙句、相手の肋骨をへし折って退社した。

 

当時の部下(ルレーヴの現支配人)から古巣がリニューアルされるとの一報を受け、かつての職場を偵察すべくお忍びで上京する。(炎と再会することはなかった)

 

営業前に無理を言って入店し、猫をかぶってバーテンダーの様子をうかがい、ひとしきりのやり取りが終了したところで開幕したのは教育的ダメ出しの名を借りた空前絶後のクレーム劇場。

 

その量なんと回を跨いで二話にわたり実に33ページという常軌を逸した所業は、内容はともかく漫画史に残る事件である。

 

驚くべきはそのことごとくが単なるいちゃもんであり屁理屈じみた難癖の域であるにも関わらず常に自信に満ち溢れ、あまりにも理不尽かつ傲慢な物言いにはさすがの海原雄山も「やめてあげなよぉ、かわいそうだよぉ」と泣きを入れるレベル。

 

素直に非を認め(謝る必要はないのだが)許しを請う相手の言葉を遮ってまで執拗に説教を続け、もったいぶった挙句にようやく差し出してきた正解とやらでさえ、よもやまさかを上回る最高のガラクタであったにも関わらずそのドヤ顔には一点の曇りもないもはや無敵の厄災でありクレーマーの王。

 

むしろ、なんか、逆に、

 

人の身では抗う術もない絶対的存在という意味においては彼こそが「お客様は神様」ならぬ「お客様で神様」なのかもしれない、

 

もう。

 

ちなみに上京の前日に自らが営業する博多の店では「明日は早いからさっさと帰れ」と客を追い返している。

 

 

「カクテル」

 

バーニング・トレジャー

 

最終話の最後に取ってつけたように登場してきた「炎」をイメージしたというオリジナル・カクテル。

 

なのだが、そのレシピは、

 

.▲廛螢灰奪函Ε屮薀鵐如&カルヴァドス&オレンジ・ジュースをシェイクして氷を入れたシャンパン・グラスに注ぐ。

 

▲屮襦次Εュラソーを静かに沈める。

 

最後にあらかじめ(←おい)ミキシング・グラスでステアしておいたカルヴァドスとグレナデン・シロップをフロート(浮かべる)する。

 

ってさ、

 

無理じゃね?

 

っていう。

 

何と混ぜようと比率がどうあろうとグレナデンをフロートってなに?

 

あれか?

 

あの漫画みたいにエスプーマとかか?

 

いや、ミキシング〜って言ってるもんなぁ。

 

だめだ、もうわからない。

 

いや、馬鹿馬鹿しいのは知ってる。


くだらないのはわかってる。

 

こういうのホントに毎度不思議なのは生まれてくる経緯なのよねぇ。

 

どうしてこうなった?

 

こんなのだって誰かが動いて対価も発生した、紛いなりにも仕事なんでしょ?

 

大人がしたことなんでしょ?

 

ところでなんだがそもそもだいたい「バーニング・バーテンダー」ってなんだよ?


オイ。

 

なんだよ、

 

「バーニング・バーテンダー」

 

って。



興味がある方は当店にて試し読みできます。

 

コメント
そうとう興味がわきました。

駿河ファンタジーはたぶん緑色のカクテルだと予想。
  • ササキ
  • 2019/09/06 3:36 AM
>ササキさん

ベースをジン、オレンジではなく温州みかんとありますが最後にグレナデンを沈めるということで「駿河ファンタジー」の見た目はまんまテキーラサンライズです。

ですが微炭酸です。

あとデコレーションにパイナップルを文字通り取ってつけます。

さらには金粉入りです。(現実的には見えないのでは?)

作成手順の途中には材料を氷無しでシェイクするという謎工程もあります。

なにかもうツッコミが間に合いません。

いやさそもそもナニが「駿河」でドコが「ファンタジー」だよ?

常に我々の想像のナナメ上をスキップしてゆく、それが「炎のバーテンダー」。
  • サヰキ
  • 2019/09/06 6:07 PM
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