ジントニックはいかがでしょう?
- 2011.12.01 Thursday
- 20:00
当店のジントニックをもっともらしく解説すると、
入荷後表面処理し酸度を調節したライムを搾って濾してジュースにしたものと、
少量のビターズ、ベースとなるジンをグラスに注ぎ、
かち割りの氷を投入したら、
トニックウォーターにソーダを加えたプレシビティ・アリアン・スタイルでアップし、
仕上げにライムピールを振り沈めて完成。
ライム一つとっても濾してウンヌンは遊離した果肉が口に残るのが嫌だからとか、
シャフトの場合、分量が定まらないからとか、
もちろんその他要素も同様に、細部にわたって色々考えた結果今のスタイルに・・・。
なんて語るとえらく大層な気もしますが、早い話がスッキリ系。
夏場よりこれで通して参りましたが、随分と寒くなってきましたし、
Barで最も注文される一杯が、一本調子なのも冴えないので、
少し甘めの濃味系でもこしらえようかと考えていたのですが、
ベースを変えるだの増やすだのソーダを抜くだの、それだけでは芸が無いかな、と。
ましてや足して加えて違うでしょ?なんてイージーなのは論外。
そこで、かつて広島の山合に存在し、
バーテンダーの高みにあったあの御人の晩年のレシピを参考に、
ヴァージョン違いを作成してみましょうかと、
材料を揃えていざ試作、と思いきや、目当てのメーカーのトニックウォーターが手に入らないとか。
大丈夫ですか?広島。
最初の問題点はここでした。
目的のトニックウォーターは大手メーカーの取り扱う一般的な商品なのですが、
なにせ需要の無い銘柄ですので取り扱い業者が見当たらない、と。
それでもなんとか某酒屋さんの協力も得て入手に成功したものの、
困ったことに次なる課題が。
と言うか、ここを先に考えておくべきだったのですが、
美味と評判だった例のジントニック最大の特徴は、
しっかり効かせたジンの味と甘口で微炭酸のトニックウォーターという組み合わせの妙にあったわけで、
必然、ベースのジンはメジャーながらも風味の濃いものを、
量もそれなりに使用して初めて完成に至ります。
やっぱり組み合わせなんだなー。
バランスなんだなー。
とても美味しい。
素晴らしい。
何を具現化せんとして、何を生かすために、何をするか。
ブレが無い。
が、しかし。
簡素に言えば、しっかりした味わいのガツン系なんですけどいかんせんアルコールがキツイ。
強引に言い換えれば、「濃いから美味い」「生粋の酒飲みが満足する味とボリューム感」。
そうですよね、ジンを生かすため、あえてこのトニックですものね。
ここが私の提供したいカクテルのそれとは少々コンセプト的にズレてしまう。
まぁどの道ただの猿真似では意味が無いのでオリジナル要素は加えるつもりでしたが、
突き詰めれば私の理想は、重厚なジンをやや多めに使用しその味と風味を生かすべく、
ともすれば軟弱とも取れる甘口微炭酸のトニックと合わせて濃味にまとめあげつつも、
ロングカクテルであり最初の一杯の代名詞らしくアルコール感は軽快なグラスにしたい、と。
やはり問題はベースのジンか・・・。
アルコールは軽目・風味は強め、いや若干ライトになろうと分量を増して差し支えないジンがあればいいのですが、
そんな都合のいいボトル、あるわけ・・・、
あるんですねコレが。
世界は広いよ。
案の定お取り寄せでしたが。
さぁ、モノは揃った、後は実践あるのみだと、
しかしベースが思ったより軽いなこりゃ・・・などとアレコレ試行錯誤してるうちに特定の組み合わせで想定外の一体感を発見するに至り、
これは良しと、少々軌道修正して最終的に「まろやか系」っぽくなったわけですが、
何はともあれ完成です。
興味がある方は一度お試し下さい。
各銘柄・レシピの詳細を明かさないのは別に勿体つけてる訳でもなければ、
秘密主義ってことでもありません。
どうもですね、これからお聞かせする落語の何が面白いかを先に説明するようなものに思えて、
薄ら寒いと言うか、野暮と言うか。
グラスの中に全てはありますので、そこは皆様がご自由に判断してみてくださいな。
あ、あと件の店のジントニックが懐かしい方は材料揃ってますので、
完全再現とはいかないでしょうが「復刻版」も作成可能です。