賞味期限

  • 2012.07.01 Sunday
  • 00:00


小さな店ですし、それは最初から懸念していたことですが、そろそろ一年ってことで、


やっぱり使い切る前に賞味期限が切れてしまったゆえ買ってきました「オリーヴ」。


まぁ「マティーニ」ぐらいにしか使いませんからね。


ご所望の方にはツマミでお出ししますのでお気軽にどうぞ。


当店でこれまで使用していたのは、「アールノー社」製の南仏はプロヴァンスで春先に収穫された種付きのそれでしたが、


今回はヴァージョン違いで、やはりプロヴァンス産ながら秋口に収穫された、


同社の「グリーンオリーヴ」と比べるとやや小ぶりな「ピコリーヌ」にしてみました。


名前がカワイイから。


ウソ。


とまぁ、説明してみると随分大層な感じもしますが、


そこまで特別なものと言うこともなく、大手デパート等にも置いてるとこには置いてある品物。


美味しいですよ、ええ。


 


ところでですが、


Barで出されるこの手の副材料的なアイテムにはご注意を。


誠に残念なことではありますが、


世の多くのBarでは、食品衛生管理について甘いどころか、


特に初歩の初歩たる賞味期限に関する認識などは著しく度を越して無関心、


てか失格の店が多いというのが現実。


そもそも賞味期限なんてのはあくまでも目安で、現物を確認して判断するべきがプロ、と言わず食品を扱う人の常識なれど、


「え?賞味期限なんて気にしたことなんかないよ?目利き?なにそれ?」で銭までいただいてプロでございとやってるもんだから始末が悪い。


「そんなのBarとちゃう、バーテンダーやあらへん」、言ったところで現実問題として存在しちゃっている以上は、


皆様方こそが知恵をつけ目を肥やし嗅覚を磨いてもらって自衛されたほうが話も早いですさかい。


基本Barなる業種では主に取り扱う商品が酒という腐りにくく傷みにくいアイテムであるため、


慢心の延長線上で何でもお気軽に接している弊害、なんてのは言い訳にすらなりませんが、


まぁ、そういうことなんでしょう。


酒にだってモノによってはボトルに賞味期限が明記してあるし、当たり前に劣化もしますよ、そりゃ。


何しろ今時、コンビニでホット・スナック買ったって手洗い・消毒は必須とされる世の中で、


これだけアルコールをメインに扱ってる飲食店舗なのに、


消毒用アルコールはカウンターの中にありませんが当たり前の業界です。


こういうこと言うと「いちいち作業前に消毒しろってのかよ?」とか、


揚げ足とったつもりが自爆してるのに気付かないツッコミをドヤ顔で言われた記憶しか思い出せなくて、


涙で景色も滲むけどワタシ負けない。


消毒用アイテムも無しで、営業中はともかく就業前後にしたって例えば冷蔵庫の取っ手とかさ、どういう清掃してきたのか、考えただけでもゾっとしますが、


そういう飲食業界では「いろは」以前の基礎知識とされる部分がずっぽし抜けてる人は意外と多いもんです。


ま、昔から「そんなのええねん」って勢いだけでなんとなく営業してる食べ物屋さんも珍しくはないので、


定期的に事故も発生してるのはご承知の通り。


あぁいう人達は事が起こったとて「運が悪かった」「ついてない」とか考えるんだろうな、きっと。


内側の立場から数々のBarの冷蔵庫の中を見てきた個人的経験では、


賞味期限切れのアイテムが無いBarの方が珍しく、その数に比例して常日頃の衛生管理もずさん度を増すのは言わずもがなですが、


中には年単位でオーバーなんてケースもあったからもうちょっとしたホラー。



一つだけ紹介しとくと「パールオニオン」なんてド本命。


フードの付け合わせにでも使う機転があれば別ですが、


実質「ギブソン」なんて滅多に出ないカクテルにしか使わないアイテムなので回転率も悪いながら、


けどまぁ一応用意はされてる率高し。


これ自体は小玉ねぎの酢漬けのようなものですが、


それまで実際目にしたことのある最高限界点突破記録ホルダーがまさにコヤツで、


某所で遭遇したそれはオーバー2年物という「かつてパールオニオンと呼ばれていたであろう何か」ってモノでした。


もちろんイっちゃってまして、マスターに指摘したところ、返ってきた応えがこれ、


「ビン詰めは大丈夫だろ?すっぱい臭い?そりゃ酢漬けなんだから当たり前じゃん?」


意味が分からないでしょ?


意味が分からないんです。


それ以来、私が新しい店で働かせていただく際、カウンターに入って最初にする作業が冷蔵庫チェックになりました。


正直言うと店内をぐるり見ただけで気配は感じますけども、案の定何かしら発見の折には、ってこれが尋常じゃなく高確率だったのもアレですが、


「あのー、これー?」となるべく気を使って意見したつもりだったんですけどもね、


「だから?」と逆ギレされることが大半で、


以後、三日と勤めさせていただけないことが多かったです、ハイ。


面倒くさいんですって、私みたいなのは。


意外とそんなもんですよ、この業界。


もちろんそういう管理まで出来て初めてバーテンダー、つーか、まぁそれ以前の話にしても、


そんなことすら出来てない人の方が多いぐらいの勢いでバーテンダー名乗ってたり、

自称にしろバーテンダーなら安心ね、バーテンダーのすることだから大丈夫だろうみたいな盲目的な信頼がお客様サイドにもあったりなのが現実なもんで。


え?そんな店、三流のなんちゃってBarだろ?


いえいえ、巷じゃ人気店と言うか名バーテンダーここにありって店が多かったですよ?実際。


なんだかなーでしょ?


なんだかなーなんです。


 

季節が変わる、ナッツも変わる

  • 2012.07.02 Monday
  • 00:00


そう言えばオープン当初「ナッツぐらい置いとかなきゃダメだろ?」とのご指摘をいただいたのがきっかけで、


「じゃぁ、ミックスナッツでも」と、とりあえずで用意したまま現在に至るわけですから、


当店においてはダントツで力の入って無い商品たるこの「やっつけナッツ」が、


いよいよ湿気ってしまう勢いでオーダーされないのは、至極当然のことと言えばそれまでの話し。


当のリクエストされたお客様もそれ以来こられてないのはお約束の法則として、


何よりお薦めするつもりも無いアイテムを惰性で転がしている己がちょっと嫌になってきた。


さてどうしたものか?


「オーダーされてからフライパンで炒る」なんてパフォーマンスは最近ありがちなれど、


確かにウケと風味は良いものの食感が著しく犠牲になるし、


「生を一から茹でるだロースト」も手間を惜しむつもりはないけど、


手軽さも魅力の一つたる「ナッツ」に、果たしてお客様の方がそこまでを求めるか?となれば甚だ疑問。


それらしい演出でハッタリを効かせたところでコレに関しちゃ良品を買ってきて右から左へお出しするのが一番なのだし、


下手な自己主張を介入させて初期設定のポテンシャルを下げちゃ生産者様に申し訳が立ちません。


そんなこんなで、ここは「モノ」と「カタ」にだけこだわろうと、当店のナッツは以後こちら。


「殻付き落花生と殻付きアーモンド」


農薬問題だなんだで輸入食料品に関しては一般の方、否、一般家庭の消費者こそが注意している昨今にあって、


「ナッツ類」のそれは気にもしないしされないし、提供側だって端から考えたこともないってのがほぼ現状の中、


落花生は千葉県八街産、アーモンドはカルフォルニア・キャンポスの契約農家で作られたものをチョイスとか、


また変に力を入れてしまった感はあるけど止めないでよ後悔は少なめのマイライフ。


この手のツマミは良かれと思って多目にサービスしても、


結果的に「ゴメンね残して」ってことが多々あるので、量は減らして質を向上、お値段ダウンの300円。


人のふんどしを自慢してもあれですが、このクオリティーの品がこの価格は有り体なミックスナッツなんぞに比べればお安いかな、と。


足りない御人はおかわりプリーズ。


モノがモノだけにそこいらの商品より格段に賞味期限が短い(てか普通のナッツってなんであんなに日持ちするの?)リスクもあるけれど、


これなら私も食べたいから、出なくて始末に負えない時は最悪自分で消費してやる肥えてやる。


譲れないこだわりがあるわけじゃないのでご意見をいただけば即変更も視野に入れつつだけど、

ナッツなんてどれでも一緒と思っている方はまぁ一度ご賞味あれ。

特に落花生はガチでスペックの違いを感じ取れることうけあい。


我ながら良いチョイスは自己満足乙だとしても「カタ」の部分も含めてですね、


なんかいい。


ふむ。


それっぽい。


そんな感じがする。


殻付きってところがたまらない。


カッコイイ。


そこにシビれる憧れる。


お酒は温めの燗がいいし、Barの「ナッツ」は殻付きがいいって八代亜紀も歌ってた。


そんな気がしてきた。


こいつを面倒くさそうに剥きながらカウンターに虚ろな目線を落としつつ笑みを浮かべて食べるが至高。


と言っても、別に関西辺りの老舗Barだ、赤道付近の某ロングバーに憧れてどうのじゃないので、


殻を床に捨てるとかは勘弁してください。


剥くの面倒だと言う人は剥いてやんよ、食わしてやんよ。


ただし女子に限る。


いや、そういう店じゃない。


最近芸が荒れている。




追記

こんなチラシが同梱されてました。



切ないやらなんやら。

そこいらのテキトーな飲食店で飲み食いするほうがよっぽど体に悪い「毒相当」のモノを摂取してるっつーに。

結果的に散歩から帰ってきただけですただいま

  • 2012.07.03 Tuesday
  • 00:00

 
レギュラー使いのボトルが立て続けに空いたので買出しへ行く。


その数は3種類で、いずれも美しすぎるナンタラよろしく普通すぎるスタンダードメジャー商品。

あくまでも「Barの酒」としては。


結果から言えば3種類とも買えなかった。


売切れとかではなく取り扱いがない、てか何それ?言われる。


この街の酒類流通事情を、


ニュアンスだけで例えるなら、


「ユニクロ」と「マック」はあるが「スタバ」と「ハンズ」は無いような、


それぐらいの規模の街。


具体的発展度がああだ、田舎がどうだってことを言いたいのではなく、


それが示すのはあくまでもクオリティーとしての、


この街のBar文化のレベルを表しているという点。


もちろん酒に造詣が深く色々取り扱いたいが需要がないからと嘆いている酒屋さんも、


不便さのあまり座っていても立ち眩みでクラクラしているバーテンダーさんもおられるだろうが、


いかにその他大勢の仕事が浅っさいところで薄っぺらくやっつけられているかの象徴に他ならない。

節操もなく広く、見境もなくマニアックになれば良いってわけではないけれど、さ。


いやしかし、


楽天ポイントが貯まる貯まる。


てことは、


それを差し引いて余りある余計なコストがかかるってことで・・・。




いや、暮れてる場合じゃない。

発注、発注。



自分がそういう場面に遭遇して以来というものですね

  • 2012.07.04 Wednesday
  • 00:00


Barは素敵でなくてはならないのです。


最高の笑顔と共に語られる喜ばしい出来事も、


涙こぼさずにはいられない悲しい場面も、


この舞台においてはよりドラマチックに演出されるべきで、


またあるいは、


それが何気ない会話のやり取りであったとしても、


例えばそう、


カウンター越しに交わされる言葉の一つ一つが、


それはまるでゆるやかな弧を描き、ふわり行き来するバトミントンのシャトルのような、


そんな他愛の無いシーンの一つを切り取ったとして、


心ふるえるほどに感動的とは言わないまでも、


日常の、そのほんの少しでも外に位置するささやかなれど特別な瞬間として、


画になる程度には、


Barは素敵でなくてはならないのです。


んが、


しかし、


そんな理想が具現化されていたとしても、


これを一瞬で台無しにしてくれるのが、


そう、


ヤツです。


虫です。


「あのね、今日はすっごく良いことがあったの」


ぷ〜ん


「オレ、もう駄目かもしれない・・・」


ブーン


「次は何にしよっかなぁ」


カサカサ


「ゴォルルァアアアアアアーーーー!!!!ボケこらぁあああああああーーー!!!」


と、キレても始まらない。


出来うる限りのことは実行していますし、


幸い今のところ、


私の管轄下においてそのような問題が発生したことはありませんが、


なにせキャツラは傍若無人、心の中の心配を払拭しきれないところが最大のストレス。


すでに蝕まれている。


虫だけに。


無視できない。


虫だけに。



定期的に実践する予防策の一つですが、

わたくし、この手のアイテムに対する免疫力が非常に弱いため、

毎回のごとく、むしろ自分を駆除しかけてもうたいへん。

まさに虫の息。

身勝手なショックを引きずったまま商品紹介してみる

  • 2012.07.05 Thursday
  • 00:00


いやー、まー、街中で久しぶりに偶然再会したんスよ。


元カノとかじゃないっスよ?


あくまで知人、って言い方すると冷たい?


で、何て言うか、もう、


あの頃の君じゃないんですよ、しかし。


本人にとっては、これ社会的にも客観視してもいい意味での変化なので、こっちの勝手な都合で抱く心境なんざ余計なお世話なんでしょうがね、


となると何やら取り残された感つーか、時の流れの無情性つーか、


夢見がちで面倒臭い性分なのは認めますがよ、


で酒なんですがね、


新商品だレア物ってわけでもなくて、


近所の酒屋でお手頃価格にて取り扱いが始まったんで買ったんですよ。


「ザ・シックス・アイルズ」


「アイレイ!」「ジュラ!」「スカイ!」「マル!」「オークニー!」「アラン!」


「6島そろってブレンデッド・モルト戦隊!アイルズマン!」


てことでスコットランドにある島生産モルト集めて混ぜてみたという、


ウイスキー界のロング・アイランド・アイスティー。


島だけにつって。ウハ


「思いついてもやるかね普通?」って色物感はハンパないけど、


ここまでコンセプトがはっきり突き抜けてりゃ面白いからいいんじゃない?と。


何年か前にリリースされ、例のジムさんとか元気だったマイケルさん辺りがベタ褒めのお定まりルーチンを経由。


単発企画だったはずが、その後も何度か「特別だよ?もう一回だけ販売するね?」と来て、


確かに毎回、細かな仕様の変更は施してあったものの、


今じゃ事実上スタンダード商品なのにネックラベルにゃ律儀にスペシャルエディションって書いてある理由は、


なんでこうもモヤモヤしているのかが自分でも分からない今の心境みたいなもんで謎でやんす。


あれですなー、残酷な現実より美しい想い出ってやつですか?


テメーだって変わっちゃいるはずだから人のこと言えた義理じゃないんでしょうが、


そこはわがままを承知のうえで、願わくば自分はどれほど経年劣化しても「あの頃」はいつまで経っても「あの頃」のまま、君だけはそこに居て欲しいと言ってやる。


いえね、あっしもバーテンダーつったって木の股から生まれたわけじゃござんせんからそんな日もありまさーな。


そういや家に同窓会のハガキなんぞ来てたけど、


も、絶対行かない。


向いてない。


ま、行ったことないんだけど。


いや、正確には部活のOB会的なそれで苦い経験が・・・。


うわぁ、嫌なこと思い出しちまった。


って、これでも意外と繊細なのよ?と、

独り善がりに気色の悪いアピールをしてみたところでどうとなるもので無し。
 
同情を欲した時すべてを失うだろうって林檎さんも歌ってたし。
 
わんぱくでもいい、たくましく育ってほしいぞオレ。

来い!今さらまさかの成長期!
 
精神的な意味で。

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