ピアース・リヨンズ・リザーヴ

  • 2012.09.01 Saturday
  • 00:00

 
「ピアース・リヨンズ・リザーヴ」は、


ピアース・リヨンズ博士によってケンタッキー州レキシントンに新たに設立された「レキシントン蒸留所」


(レキシントン・ブリューイング&ディスティリング・カンパニー)の製品。


蒸留所の創設者でありマスター・ディスティラーのピアース・リヨンズ博士が情熱を込め、


スコットランド製のポットスチルを使用しつくり上げました。


1919年以降、ケンタッキーで生産される最初のモルト・ウィスキーです。



とまぁ、日本語で紹介されている文章は酒屋さんだろうとてBarのブログであろうとて、


この文言がコピーされ使い回されのお定まりパターンゆえ唯一無二となっているので、


まるでモノ好きなピアースさんが血迷ってケンタッキーでモルト・ウイスキーを作ったような印象を受けますが、


もう少し補完しておきましょう。


「さーて、今日の世界情勢はっと・・・」


って、この台詞が千葉繁で再生されたアナタとは友達になれる予感しかしない。



1980年創立の「Alltech社」は現在128ケ国以上に展開しており、


「World Trade Magazine」にも注目の主要ハイテク企業TOP100として一目置かれる年商5億ドル超の大企業。


主な業務は家畜や農産物向けの飼料や肥料の開発と販売ですが、


対象はもちろん、人と地球に優しい上に効率・効果・性能の高さがウリのハイスペック商品群が人気です。


簡単にまとめますれば「新進気鋭のバイオテック有機エコ関連企業」なんて説明でよござんしょうか?


しかしながらそうなるとこのご時勢にぽっと出の新興企業が、


競争も激しい分野でしょうになぜここまで勝ち組と成り得たかと言えば、


それは商品それそのものの評判ありきとして、そもそもの説得力が違いますよ、と。


なにしろ創設者にして現社長の経緯たるや、


ダブリンだバーミンガム大学で博士号だの学士号を得たのち、


まとめあげ発表した研究報告書は発行された本だけでも20冊以上。


功績が認められプリマスにヘリオット?あとスコットランドにケンタッキーとセンター・カレッジでしたっけ?


果たして本人が覚えきれているのかが疑問になるほど名誉博士号だの貰いまくってる業界ではこの人ありのすごい方。


そんなやんごとなきお人が開発してやんよ?売ってやんよ?どや欲しいやろ?


と会社作って商品売ればたちまちブレイクいたしましたとさ、ってなもんです。


で?業界屈指の偉人にして創設者にして社長のすごい人ってのが誰かと申しますれば、そう、「ピアース・リヨンズ」氏。


ここまで高名な方がなぜにウイスキー生産を始めたかに関しましては、


アイルランド出身の氏の祖父が、元よりウイスキー作りに携わっていたお家柄だったとか、


最初に研究・習得した分野が発酵に関係するそれだったからとか、


それらしいエピソードもありますが、


どちらかと言えば、


商売としてすでにビールの製造・販売で実績があったからとか、


アメリカで事業展開するにあたり地元貢献の意味合いをなんたらでどうとかこうとか、


経営戦略的な意味合いのほうが強い気がしないでもないけど、


あまり掘り下げすぎると色気の無い話になりそうなのでここいらで止めておくとして、


試みとしてもネタとしても非常に「おもしろい」一本であることは間違いないのではないかと。


なにせ気候風土含め製作条件的に不向きとされ続けてきたバーボンの聖地で作るモルト、


それも肩書きだけなら現在世界一とされる博士様が手がけるボトルとなれば興味が湧きます。


 


「ピアース・リヨンズ・リザーヴ」


ここまでの文章が面倒くさかった方のためにあらためて言うならば、


結局冒頭のそれ、


「アメリカはケンタッキーで作られたスコッチタイプのライク・ア・シングル・モルト」ってことになるんでありますが、


しかし奥さん!なんと今回これだけじゃないっ?!


はいこちらっ!


「タウン・ブランチ」


同蒸留所・レキシントンにて製造されたこちらのボトルは、


近くを流れる川より名前を授かった「バーボン」にてございます。


しかもしかも、なんと今回特別にっ!


ピアース・リヨンズ氏の直筆サイン入りボトルだお立ち会いっ!


ね?


だからどうしたってツッコミは無しでお願いします。

とりあえず売却を考えて開封は我慢しよう。

  • 2012.09.03 Monday
  • 20:46

 

コンビニで販売されている「一番くじ」なる商品は、


単価500円以上もする設定ながら任意の物品を手にすることも叶わない可能性のある、


非常に不親切かつリスキーなアイテムであるが、


その本質はつまるところ「おもちゃ」である。


だがしかし、


何かしらのキャラクターテーマにそって展開される一連の商品群は、


そもそものターゲットを大人に設定し企画・開発されているため、


「くじ」などという響きより連想されるような朗らかなイメージ、


夜店の屋台的な射幸性を基盤として成立する、


運試しや遊戯といった娯楽などとは根本的に主旨を異とするものであって、


コンプリート・トレード・転売といった目的のため惜しみない投資を必要とする面からしても、


やはり子供には向いていないと言わざるを得ないだろう。


この「金さえ出せば何とでもなる」資本主義の権化のごときシステムに唯一打ち勝てるものがあるとするならば、


やはりこれは「運」などという不確定要素により皆が欲するであろう「当たり」と称して遜色のないアイテムを、


いかに少額の投資で手に入れるか、


なのだが事はそう容易く運ばないのもまた世の常である。


 


今日、コンビニへ行った。


私がレジへ足を運んだ際、先にレジを占有していた先客は同年齢程度の男性であった。


会計に随分と時間を有していた。


なぜなら彼は、仮に結婚していて家に帰り事を知られれば間違いなく奥さんにマジギレされる勢いで、


「一番くじ」を大量に購入し、その「めくり」と「交換」に手間取っていたからだ。


それでもどうやら目当ての商品、いわゆる「当たり」を手中に収めることが出来なかった様子で、


分かりやすく聞こえるようにしたとしか思えないハッキリとクリアな舌打ちを残して去っていった。


このくじの商品は私も好きなキャラクターのそれであり、


ふと目に止まった「ハズレ」のEかF賞、


商品はAからIまでのアルファベットが振り当てられており、AとBは各店舗に一点のみ、


と言っても当該店舗のA賞はすでに誰かが当てていたようだが、


以下ランクが下になるほど数も多く一般的には「ハズレ」と分類されるのだろうが、


これの余りに余りまくっているEかF賞がむしろ私にとっては「当たり」に見て取れたので、


純粋に欲しいと思い、一回ぶん購入してみることにした、


ら、


なんか当たった。


やたらとデカイB賞。


いや、


マジかさばり過ぎなんだが。


望んだ結果を具現化できてこれを当たりと称するならばある意味「ハズレ」とも言えよう。


結局今日はこれを持って街中をウロウロするハメとなってしまった点からもそうだ。


どうだ?


むー・・・。


しかし私はまたいたらぬところで運を使ってしまって・・・。


得手不得手を語るほど確立したものは持ち合わせてございません。

  • 2012.09.05 Wednesday
  • 03:52

 
「ザンジバル」。


ショートカクテルです。


ドライベルモット1/2・ジン1/4・レモン1/4・砂糖1tspをシェイクして仕上げにレモンピール。


ショートにしては度数も軽く、


秀逸なレシピが個人的にも好みなのでよく作ることがありますが、


先日の話。


「サヰキに行ったらオリジナルのザンジバルは一回飲んでおけって言われました」って、


似たようなことがここ何ヶ月かで幾度かあったんで書いとこうかなと思ったわけですが、


「ザンジバル」はスタンダードカクテルですから。


掲載されてるカクテルブックが少ないので今となっては確かにマニアックかもしれませんけど、


狭い範囲のことで言えば、15年以上前の広島では比較的よく作成されていたグラスです。


どうしてこうなった?は、おそらくイギリス領の「ザンジバル諸島」に由来するのであろうこのカクテルと同名の戦艦が、


「機動戦士ガンダム」に出てくる辺りもふくめ、


思い当たる節が多々なので一切省いときますけど、


何と言いますか類似の現象として、


「バルセロナ(フィズ)」なんかも、いやまぁこれは確かにけっこうアレンジしてますが、


その他どスタンダードの「ギムレット」だ「ジンフィズ」にしたって、


ワタクシ自ら「俺はバルセロナのケンジだ!」「ギムレットが十八番だぜ!」とか言った覚えはカケラも無いので、


あれ、


勝手に決めていただいても困ります。


それでも宣伝してくれるのはありがたいとして、


「誰に聞いたの?」って聞いてみたら、


ほっとんど来店されたことも無いような方が源流だったり、


さらにその又聞きだったり、最悪来たことないような方だったりで、


え?って。


てこたぁアレでしょ?


他店様のカウンターでサヰキを知らない人が「サヰキへ行け」とか、

「噂が独り歩きしてるみたいだねぇ?」ってそれどこのユマ・サーマン?


ほらまた思いもよらないところで嫌われちゃうじゃないっスか?


何と言う絵に書いたような褒め殺し・・・。


飲み手としてもマナー違反ですさかいそのへんお気を付けて。


流れにそってついでに言わせてもらえれば、


そりゃ確かに「ザンジバル」「ギムレット」「バルセロナ」「ジンフィズ」あたりは、


一回飲んでみていただきたいカクテルであることに間違いはないので、


それこそ一回来てみてつかーさい。


語るより前に。

話はそれから。

デュボネ

  • 2012.09.06 Thursday
  • 03:58


1840年代。


フランス政府は北アフリカに軍隊を配備するも、現地に蔓延るマラリアの恐怖にさらされていました。


そこで「対マラリア用ドリンク」のコンペテションを開催。


ここで採用されたのがパリの化学者兼ワイン商・ジョセフ・デュボネ氏が考案した酒。


ワインをベースとし「キニーネ」をはじめ各種薬草等をブレンドして造ったボトル、「デュボネ」。


とまぁ誕生経緯はザッとこんな感じです。

「デュボネ」


日本で紹介される場合、「世界的に有名な逸品」との謳い文句が常ですが、


その実態を詳しく知るバーテンダー以前に情報そのものが絶望的に少ないため、


愛飲されてるお客様であってもそれが何かはよく知らないで飲んでいる、ってのが普通ではないでしょうか?


カテゴリーとしてもマチマチで、


発酵途中にアルコールを添加するプロセスを拾って「酒精強化(フォーティファイド)ワイン」と言われてみたり、


色々混ざってるとこから「フレーバードワイン」、はたまた「リキュール」とも。


最近の並行輸入ボトルの裏ラベルには「ヴェルモット」と書かれてますが。


ちなみに「ヴェルモット」は日本に間違って広まった呼び名で、


本来「ヴェルムート」としたかったところが「あ、やべ、訂正しよ」と思った頃にはすでに遅すぎて定着してしまった、


というのは単なる余談。


まぁどれを選択しても間違いではないのでご自由にと言いたいところですが、


こと「ヴェルモット」に関しては、


「白(ドライ)のフレンチ」、「赤(ロッソ)のイタリアン(イット)」(いずれもベースは白ワインですが仕上がりの色とテイストで区別されます)


が象徴であり通例でありお約束なうえ、この酒にも白ヴァージョンが存在するため、


フランスを代表する当ボトル(は赤です)をしてそうは呼びたくないのがちょっとしたこだわり。


適切なカテゴライズとして推奨したいのは表ラベルにも書かれている「アペリティフ・ワイン」。


文字通り食前酒としてお楽しみいただくための酒で、ワインをベースに造られる健胃・薬効効果のある酒の総称ですが、通称ではなく立派なカテゴリー。


日本では馴染み薄ながらジャンルとしては確立した酒類ですのでこれを機にお見知りおきを。


とは言え食前以外に飲むのが無粋なんてことはありません。


なにせこちとらバーテンダーですさかい、それはあくまで「そもそも論」。


楽しみ方は色々です、ご相談を。


ネタに悩む心配など無用なほど海外にはこれを使ったカクテル・レシピが、それこそ呆れるぐらい転がっています、


も、いいのですが、


素性が素性ゆえに当店でこの夏やたらと消費した「ピムス」同様、


独自のアレンジで自分なりの飲み方を探ってみられるのも面白いかな?と。


英国でも人気の高い酒で、エリザベスの名を冠するお歴々は、


「ジン」と混ぜてロック・スタイルというのがどうやらお気に入りのご様子。


「とりあえずどこから攻めりゃいいの?」って方はそのままロック、


もしくはスタンダードで「フィズ」と言いながらレシピはずいぶん変則的な「デュボネ・フィズ」あたりをお薦めいたします。



このボトルを世界的定番にした一要因として、


「H・トゥールーズ・ロートレック」や「ジュールズ・シェレ」等、


有名画家の手によって作成されたポスターによる宣伝効果があります。


画像はジュールズ・シェレの描いたポスターで、


「QUINQUINE」は「キニーネ」入ってる的な意だと思ってください。


モデルはデュボネ夫人(氏の奥方か単なるネーミングかは不明)とペットの猫。


この猫がフューチャーされて現在もトレードマークとしてラベルに描かれています。


今のそれは随分とスタイリッシュな図柄になっているものの、


華やかかりしベル・エポックだのアール・ヌーボーだのの香り溢るる画風の頃より愛され紡がれてきた軌跡を想えば、


そこは空想とは言え、なかなかに「古き良き時代」を感じ浸れる素敵なボトルじゃありませんか?と、


妙に想い募る一本なんですよね、極めて個人的ながら。


何と言いますか、


「これから食事だし、そうね、デュボネを」などとご婦人から注文いただいたりなんかすると、


トキメキが止まらなくて困ります。


素敵ですね粋ですねトレビアン。


いえ、食後でも紳士でも問題ありませんのであしからずシルブプレ。

シャルロット・ゲンズブールと井上陽水とワタクシ

  • 2012.09.08 Saturday
  • 19:50


高校時代に選択していた美術の授業で、


点描による人物画作成という課題があり、


これのモデルには近しい人の写真なり、


流行りのタレントの広告なり、


自由に選択して良いとのことだったので、


私は雑誌から切り抜いた「シャルロット・ゲンズブール」の写真を題材にしました。


80年代末を過ごしていた高校生が選択するには少しばかり斜め上をゆく洒落た変化球ではないかとお思いの方もいらっしゃるでしょうが、


正直を言えば狙った感は否めません。


当時の色気づき始めていた私にとってこのチョイスは精一杯の背伸びでした。


いや、実際「シャルロット・ゲンズブール」の、


特にデビュー当初「なまいきシャルロット」に出演していたあたりの彼女は好きだったのですが。


しかし、ともすれば面倒くさいとも言える私の選択を、


美術顧問の教師はやたらに気に入った様子で、


それからは事あるごとに準備室に呼ばれ、


たわいもない談笑に付き合わされて、


と、それ自体は良しにしても、


茶渋で染まったマグに注がれ毎回のように振舞われるインスタントコーヒーだけは、


口にするのも躊躇われるほど心底嫌いでしたが、とうとう最後まで言えないままでした。


ただその他の事、具体的にどう過ごしていたかとなると、霞のかかった景色のように曖昧な部分が多く、


奇妙な時間と空間を共有ていただけの、まるで白昼夢のように輪郭もおぼろげな記憶しかないのですが、ハッキリと憶えていることが一つ。


ある日のこと、


「アナタのイメージにぴったりだし、きっとこの曲好きだと思う」


と、CDを貸してもらいました。


それが井上陽水の「傘がない」でした。


「都会では自殺する若者が増えている」の歌い出しで始まるあの陰気な曲です。


いえ、名曲ではありますが、今まさに青春のど真ん中に居るうら若き高校生に推奨するにはいかがなものかと。


と言うかどんなイメージで接してたんですか?先生。


以来です。


雨が降るたび、私の頭の中にはこの曲が流れます。


今日は深夜から雨。


帰宅を妨げる意地悪な予告を天気予報が伝えています。


それを映し出しているパソコンのディスプレイをぼんやり眺めていて、そんな昔のことをふと思い出しました。


にしても、


先生は全般的に割とコテコテで、


絵にしたって「クリムト」とか「シーレ」が好きなんて、(シャルロットの母のジェーン・バーキンがシーレを描いた映画・愛欲と陶酔の日々に出演しているあたりは関連が無きにしもだけれど)


いちいち趣味が合わなかったのに、


よく話が出来てたものだなぁ、と。


あと、我ながらに非道いと思うのは、先生の名前が思い出せないこと。


ごめんなさい。



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