カクテルに添えられた二本のストロー問題・前編
- 2013.06.03 Monday
- 04:58
※検索でこの記事をご覧の方が多いようなので補足。むしろ「後編」をご覧ください話しが早いです。
カクテルに添えられた二本のストロー問題・後編
「モヒート」に「ミントジュレップ」に「フローズンなんとか」などなど。
蒸し暑くなってきて涼の楽しめるカクテルがボチボチ人気の今日この頃ですが、
これらのカクテルをご提供する際にしばしば出てくるアルアル質問。
「ストローが二本あるけど?なんで?どうすればいいの?」
前世とその前世でもたずねられ、呆れるほどネタにされ眠たくなるほど語られてきたこの話を、
今さらながらにここいらで、だからこそまとめて決着を。
まずそもそも、ストローが添えられるカクテルには条件があり、
「1」クラッシュ・アイス(細かく砕いた小さな氷)を詰めたグラス
「2」フローズン・スタイルのグラス
「3」気がふれたような山盛りデコレーションのおかげでまともに口をつけられないようなグラス
のいずれかに該当する、はず。
つまりはストローが無いとスムーズに飲めない・飲みにくいからこそというごもっともな理由が前提なわけであって、
それ以外だとマドラーの役割を兼ねた場合、なんてのもあるのかもしれないけど「それなりの店」では稀だろうし、
プースカフェ・スタイルの場合は今回のお題とは関係ないから除外しとくとして、
で、問題はこの際添えられるストローの数がほぼほぼ二本である、ってのがお約束なこと。
拾い集めた諸説様々を列挙しつつイジってみると、
「1・一本は詰まった時の予備なのだ」
クラッシュやフローズンなど、ありそうで無さそうで実際あっても不思議でないけど私は見たことないけどね、
本当に詰まったのって。
てか一体東京ドーム何個分の面積で営業してるんだか、詰まってから声かけてもらっても充分対処できるっしょ?
大体がそうそう発生するわけでもない不測の事態に何をそこまで怯えてんのさ?という心配性にもほどがある人が始めたんだろうね?って説。
「2・ストロー一本はソフトドリンク、二本はアルコールのサイン」
じゃあアレか?五本だとア・イ・シ・テ・ルのサインか?って知らねーよ、そりゃお前のとこのローカル・ルールだろ?って話。
「3・絵的にしっくりくるからだぜ」
喫茶店とかではイライラして仕方がないんだろうか、そういう人は?っていう。
「4・あのね、カップルでね、飲むためなの」
聞き飽きた。5億回聞いた。もういい。
「5・二本同時に使って吸い込むとグラスに口つけて飲むのと同じペースで飲めるからです、ええ」
吸引の力加減によらないか?それは?
つか口径を考えたほうがさ、詰まる問題も解決できそうじゃね?
とまぁ、目立つところはザッとこんな感じ。
70年代、80年代とそう古くない程度の写真付きカクテルブックを見てみても、
ストローが添えられたグラスのそれが「必ず二本」とは限らないのに。
「一本だけ」ってグラスが珍しくないのに。
そもそも現代のカクテルブックにおいてもレシピに「ストローを飾る」とあっても、
「二本」という指定を見つけるほうが難しい。
しかし今時は「ストロー=二本」が、つまりはなんとなく現場でだけお決まりになっている。
「説」はあっても納得のいく「解」を記した文献は見当たらず、じゃあますますなんで二本なんだよ?ってことになるのだけれども、
「理由は無い」「それっぽいから」ってのが正解なんじゃなかろうか?
いや、マジで。
まとめますよ?
以下、妄想と想像込みの完全なる仮説であり推論ですけども。
その昔、先に記した条件下のグラスゆえに飲みやすくするためストローを添えられたカクテルがありました。
最初は一本でしょうね。
問題は、その手のカクテルが涼を求める目的のグラスが多くて、
ルーツが南国リゾートってケースも珍しくなく、その証拠にトロピカル系に属する種類がわんさかな事実。
デコレーションもバカンス気分を盛り上げるべく派手なものが多かったんだろうさ、と。
となると想像するにロケーションは開放的な空間、ほぼほぼ屋外的な、それこそプールサイドで、あるいは浜辺を歩きながら、なんてことも多かったんじゃないかな?
寝そべって飲むにも便利だし、あんなシーン、こんなシーンは皆様もガスガス思いつかれることでしょう。
さすれば共通して言えるのは、単に「詰まるかも?」なんて心配よりも、
「実際に詰まったり、トラブルが発生した場合にどうすんのよ?」って対処法こそが命題。
落下などの事故率が上昇してしまうシチュエーション、かつ常に目の前にバーテンダーが居るとは限らない場所が圧倒的。
これが肝。
カウンターが無い、Barとは言えないところで飲むことが多い=バーテンダーがすぐには対処できないから、
考えられる様々なケースを想定して予備を一本添えました、あらかじめ二本挿すようになりました、が始まりなのでは?
そのうち現地でそれを見た他所から来ていたバーテンダーなりレシピを紹介する立場となった方々が、
「なるほど本番ではストローは二本添えるのが正式なのか」を「ストローと言えば二本がデフォ」として、これが徐々に広まっちゃった。
で、お客様からは今だに「なんで二本なの?」と質問されるぐらいなのだから一般的にはどうでもいい、「一本で良くない?」ってことなんだけど、
「二本添え」が当たり前になったのは単にバーテンダーの方で、実は客のための二本ではなく、確たる必要性もないのにこれでないともう落ち着かないバーテンダーのための二本に。
がしかし、「そういうものだから」で思考停止しちゃってる連中はさて置き、バーテンダーなんて生き物は負けず嫌いで頑固なカワイ子ちゃんが多いため、
今さら「知らない」だの「理由は無い」だの「なんとなく」なんて言えないもんだから、
さもそれらしい説明がされ始め、これがコピペ&コピペで広まっちゃったのが今現在。
って推理でどう?
てなわけで、今後私は、
「なんでストローが二本なの?」なる質問に対しては、
一本に何かあった場合、すぐにもう一本を用意できないロケーションで楽しまれてたドリンクの名残です、
と答えたい、
と言うか、
当店ではストローを一本にします。
これから。
問題が発生したら言って下さい。
すぐ対処できますので。
ボク、メノマエニ、イルヨ?
ただ、別にケチでそうするわけではないので、
一本だとたまらなく落ち着かない方、
発狂し踊りだしてしまいそうな方は言ってくださればすぐさま二本目を挿しますです。
中には「二本で飲みたいんだっ!吸引力の違いがっ!サイクロンがっ!」って方もいらっしゃるでしょうが、
これに関してはですね、一般的な話としても、
例え二本あっても一本で飲むのがスマート、って意見が多いので、
ちょっと覚えておいて欲しいかな?って。
ついでに他店様で二本添えのグラスが出てきた場合の素敵飲み方スタイルを参考程度に。
背が高いグラス、あるいはストローに充分な長さがあり、
前のめりにならなくとも口元にストローが届く場合ならばグラスは置いたまま片手は添えるだけ。
そうでなければグラスを片手で持ち上げ、
もう片方の手で一本だけストローを軽くつまむようにして、
あとはお上品に左脇腹えぐり込むように吸うべし吸うべし。
予備説主流の世の中ですさかい、予備は予備。
あくまで一本で飲むのがスマートです二本でとかガッつくなよヘイヘイ、
ってのがまぁ「分かってるよね」とされてます。
と、
これでまとめたつもり、万事解決のつもりでしたが、 ちょっち気になる点がありまして、つづきます。