ナマステ。
いつものです。
もはや説明もいらないでしょう、早速イキたいところ、
なの、
です、
が、
その前に、
なんだか最近おかしなことになりつつあるのでルールを制定。
1・旅先のお土産に限ります。近所で見つけたからとかそういうのは無しで。
2・持込みは一度に一種類一個。的を絞って必殺のチョイスを。
3・謝らないで。大前提カレーを手土産に持ってこないと入店できない店じゃございませんし、その有無は私の機嫌にも仕事にもなんら影響しません。
皆様、用法・用量を守って正しく私に貢いでください。
オレハナニヲイッテルンダ?
じゃ、
いクぜ!@加納典明
東京「資生堂パーラー 辛口ビーフカレー」
ワンランク上のハイクオリティ商品なのですが、いやもう正直そこらへんで売っているのでもちろん体験済み。
大体は食べてるよ?と言えるまでになってしまった私こそがおかしいのか?
わざわざ東京の資生堂パーラーでご購入いただきましたことを感謝しつつも、
うん、まぁ、味は変わらないよね。
山口「山口さんちのセレブになっちゃったカレー」
前身たる「山口さんちのごめんなさいカレー」がバージョンアップしたのだそうですが、前を知らない私は何がどうセレブになったのか知る由も無く。
味は良かったです、てか中々のクオリティーなれど特長と言えるほどの個性が無いのは残念。
コラーゲン1000mg配合あたりが売りなのかな?
経口摂取でコラーゲンなんて、マイナスイオン級の似非科学、今だに信じられてるの?
新潟「かんずり屋さんのゆずカレー」
かんずりとゆず、「二人の出逢いはまさに奇跡!」とありますが、
いや、そもそもかんずりって柚子使ってますけどもそれは・・・?
かんずりの味とカレーの味が驚くほど一体化しておらず、一口で二味楽しめると考えれば、お得?なのか?
主張すべきを主張しているって点ではアリですけども。
しかし具材の牛肉ですよ。
レトルトとはいえビーフジャーキーよろしくこんなに硬い肉は久しぶりでした。
青森「りんごカレー」
シンプルなモノが一番怖い・・・。
過去、鳥取の、一見なんでもないような梨カレーが、予想に反してあまりにも衝撃的だったという経験をして以来、
果実系カレーの、それもストレートな内容で、ぱっと見に凡庸にも見えるパッケージのモノであればなおのこと、
トラウマが頭をもたげ、及び腰になりがちなのですが、
めっちゃフツーでした。
いやフツー過ぎ。
腰砕けにしても砕けた腰の破片が素粒子レベルにまで細かく粉砕されて飛んでっちゃうんじゃないかってほどフツー。
ハチミツを味方に抱き込んだぶんバーモントカレーの方がキャラ立ちに成功してるってご当地カレーとしてどうなのよ?
がんばろう。
香川「ストマックカレー」
牛の胃がゴロゴロ入ったモツカレー。
ミノやらハチノスが浮きまくったビジュアルはそれだけで迫力がある。
そしてなにより臭い。
だが、それがいい。
今時の、洗浄しまくって味の無いガムみたいになってしまったモツに慣れていてはちょっと近寄りがたいほどの獣臭。
元来モツだのホルモンなんざこんなもんだったと思い出させてくれます。
激辛とありますがそれほどでもなく、なにかもう臭み消しに唐辛子ぶち込んでみたけど誤魔化しきれませんでしたって感じも素敵。
もちろん好き嫌いの分かれるところでしょうけどね、うん、美味い。
しかしこれ、讃岐名物?でいいの?
静岡「いわしカレー」
マイルドなカレーにいわしの魚粉を山ほどかけました以上終わりな一品。
ヘタをすればカレーであることを忘れさせる勢いのいわしっぷり。
昔から「魚介系カレーに当たり無し」と言われる原因は、味のベースたる出汁の部分にそれを使うとどうしても生臭さが際立ってしまう点にあったのが、
魚粉を用いて後付けで味をコーティングしてやれば、これは昨今のラーメンにも言えることなのですが、
確かにね、生臭さも抑えられて不味くはないのだけれど、結局さ、マヨネーズとかゴマ油と一緒なのよね、魚粉て。
そりゃ使い方にもよるのだけれど、支配的で味を一色に染めちゃうって意味では素材も調理法も上書きして全否定しちゃうから。
それにしても魚粉入門者の「美味いもの見つけたった感」とそれを推して来る圧って異常ですよね?
昔の彼女に美味しいラーメン屋さんがあったよ!って連れて行かれたのが魚粉モリモリの店でちょっと残念な気持ちになったのを思い出しました。
せつなーい。
高知「海カレー 足摺岬の宗田かつお」
ニコイチ?
いいえ、祝・同時到着初カブリ!
高知くんだりで時を同じくして赤の他人の二人が私を想いつつこのカレーを買い、わざわざ海を越え運んで下さったのかと考えるとそれだけで胸アツ。
なにやってんスか?
味はまぁ、カレーうどん的なお出汁がかつおの、ではなく、カレーに鰹節をまりまり乗っけた感じを想像していただければそんな風です。
パッケージにある「漁師もびっくり」のコピーはいかがなものかと思いますが、
裏の説明にある「台風のときよくテレビに映し出される足摺岬のー」は地元アピールをその任とするはずの立場で大丈夫?怒られない?
ちょっと心配、だけど好き。
栃木「日光名産トローリトロトロ揚げゆばカレー」
商品名でネタバレしてますが、揚げ煮なんてもんじゃない、なんせトローリトロトロになるまで煮込んだ湯葉ならば揚げた意味が無いっていう、ね。
カレーの要素と和風の煮物要素がちょうど半々で綺麗にケンカしています。
そこに湯葉が自己主張してくるものだから皿の中は三つ巴の戦争状態。
一体感の無さでは群を抜いた仕上がり。
淡白なものと思っていた湯葉ですが意外なことにカレーにも負けない風味を有していて、
素直に思いました、カレーと湯葉は合わない。
冷静に考えればカレーに湯葉が入っていたところでどうですかこのありがたみの無さ。
名産を生かせばカレーが死に、カレーを生かせば名産が滅ぶ。
しかし名産を使わねばそもそもの誕生すらありえないからこそのご当地カレー。
ジレンマの中でもがき苦しんだであろう開発者の苦悶の表情がまぶたに浮かびます。
「カレーに湯葉なんか入れたって美味くないんだよ!」と諦めかけたその時に思いついたのが、あるいは揚げて煮込むという奇策だったのかもしれません。
ご当地カレー、それはドラマ。
長崎「長崎豊味館 牛テールカレー Gorotto[ゴロット]」
まず箱がデケー。
そしてタケー。
お値段なんと1500円。
こぶし大の牛テールがまるごと一個(大きさによっては二個の場合もあるとか)入ったパウチの温め時間は湯煎で18分。
時短ワザとか使えばちょっとしたカレーが一から作れちゃうんじゃないの?と、レトルトとしては何もかもが規格外の品。
クミンとガラムマサラが小袋で別包装されているなど特別感と高級感が尋常ならざる仕様で、
パッケージに偽り無し、まさに贅沢なカレーはこれで不味いはずも無いのだけれど、
それでいて名前が「ゴロット」なのはいかがなものか?
いやまぁ確かに「ゴロット」してましたけども。
さて、頂いたカレーは皆等しくありがたく、そして「楽しく」いただきました、
が、
ご好意に優劣などつけられようはずもないのは心情として当然のことながら、
並列化した平等主義の元、綺麗事で創られた世界にいったい何の価値があるのでしょうか?
差別と区別という残酷な選択があるからこそ美は美として成り立ち、そこに初めて意義と意味が生まれるならば、
あえて私は決めましょう、今回のMVP。
青森「大間まぐろカレー」
一味違うカレーはその面構えからしてやはり違います。
一見して思いましたね、あぁ、コイツはヤバイ、って。
詰め込み感ハンパない構図の中に狂気を孕んだマグロの目とやたらオラついた配色。
情報過多も甚だしくところ狭しと躍り狂う文字の大群は全て異なるフォントを使用するというやかましさ。
パッケージ裏においては「海の男の味!!」と、体育会系男子高校生の部室の臭いがむしろ爽やかにも思えてきそうなむさ苦しいまでの熱いコピー。
もう不安しかありません。
BLACK DIAMONDと称される大間のマグロに名産のリンゴジュースとわかめまでぶち込んだ、
手の届く範囲にあったものを全て集めて煮込んだという闇ナベのごとき一品。
マグロ&リンゴ&わかめ。
美味しいを連想するほうがすでに困難。
が、それでも予想は甘かった。
基本はマグロの嫌なところをギュッと凝縮したような典型的ダメダメ魚介系カレーではあるのですが、
おそらくはその臭みを清涼感ある酸味で中和させるために投入されたであろうはずのリンゴがまさかの裏切り。
ジューシーで爽やかな風味をもってよりいっそうマグロの臭みのエッジを際立たせるというナイスアシストでオウンゴールを決めまくり。
すごく生臭い。
ネバー・エンディング・生臭い。
そして思わぬ伏兵。
いや、このカレーを裏から牛耳る闇のフィクサーと言ったってちっとも隠れてないから普通にボスです。
真の敵、
それは、
わかめでした。
齢四十を越え、幾多のカレーを食し、おこがましいながらもそれなりの知識と経験を、並よりは蓄えてきたと自負する私も初めて知りました。
カレーにわかめを入れて煮込んじゃ、ダメ、ゼッタイ。
加熱により漆黒の闇のごとき色彩を纏ったわかめは、ちぎれ、裂け、破れ、それがはたしてわかめであったのかも疑わしいほどに細かく広くカレー全体に漂う光景は視覚効果だけで食欲を減退させるに充分な威力を持ったまさに地獄絵図。
どこにスプーンを入れてもわかめに当たってしまうわかめトラップが仕掛けられた出口の無い迷宮わかめラビリンスに迷い込んだが最後、
口中に投じては固体と液体の狭間をさまよいながら独特の不快な食感を放つ一方、持ち前の磯臭さでベースとなっている生臭さにブーストをかけて本気でトドメを刺しに来てくれます。
ブラックダイヤモンドを呑み込むばかりか己の力に変えてなおも暴れる脅威のダークマター、その名はわかめ。
これはスゴイ。
これは強い。
人が意図的に目指して到達できるであろう限界を大きく凌駕した破壊力の高さから推測するに、
これはおそらく偶発的な要因が関与した、
例えばマグロ業者とリンゴ業者とわかめ業者、
それぞれの思惑と主張が微妙なパワーバランスの綱の上で錯綜する高度に政治的な駆け引きの中で、
度重なる交渉と圧力、契約と裏切りの末、混沌より生み出された偶然の結果こそが、この一品だったのではないでしょうか?
「我々はなんてモノを創ってしまったんだ!?」
「流すのか!?コレを!?市場に!」
「やむを得まい、地元のためだ・・・。」
そんなドラマを想像せずにはいられません。
そして、あらためて箱を眺めると気付かされるのですが、
実はこのカレー、カレーをちっとも薦めていないのです。
ありがちな「美味しい」だの「オススメ」だのの文字が無いばかりか「カレー」の単語さえ商品名として以外には使われていない、
だけならまだしも、
大間のマグロの旬は秋から年初めにかけてで食すなら刺身に限る、と見事なまでの自己否定っぷり。
唯一味に関しての情報は先に記した「海の男の味!!」
正確には「大人の辛さ!!海の男の味!!」とあるわけですが、
なるほど「カラサ」ではなくこれを「ツラサ」と読めば、まさしくこれは大人も悶絶のツラサであり、
圧倒的破壊力を有した初体験のこの味こそが海の男味なのだと言い切られては納得せざるを得ないのです。
嘘が無い。
見事。
全ては自己責任ということか・・・。
代わって私が推奨します。
機会がありましたらぜひ一度お試しあれ。
もちろん自己責任で。
「番外編」
九州のラーメン色々も頂きました。
あぁ、ラーメンもいいよね。
できれば生タイプがいいな(ゲス