か、完食?七種類のご当地カレーを完食?一週間もかけずにか?・・・

  • 2016.07.01 Friday
  • 01:36

 

愛媛「愛媛の赤いトマトカレー」

 

 

とても良くできています。

 

ヘルシーさを求めるがあまり、ともすれば軽薄な印象にもなりがちな野菜主体のルーをしっかりと支える動物性脂肪分と、

 

おそらくは小麦粉も多めに配合してあるのでしょう、

 

粘度を高めにすることで爽やかな酸味と深みのあるコクの両立に成功しています。

 

具材がトマト、という感じではなく、スープそのものをトマトとしてルーを溶かした、といったテイストは、

 

水を一切使わず、代わりにトマトジュースとホイールトマトを使用して作る裏技的カレーレシピのような仕上がりで、

 

そう言えば昔、彼女が得意になって「これ知ってるぅ?」と作ってくれたのを思い出しましたが、

 

あの時は、そう、女子に接することに関してはオーガニック・コットンよりもやさしいと言われた、この私ともあろうものがリアクションを間違えて、

 

「どう?」と感想を求められたのに対し、

 

「まぁ、普通?」と答えてしまったばっかりに彼女を不機嫌にさせてしまったというどうでもいいエピソードをついでに語りつつ、

 

いただけないのはパッケージにおける説明不足感。

 

アカウンタビリティをプライオリティしてないからコンプライアンスがコミットされていません。

 

愛媛とトマトの関係性については華麗にスルーしておきながら、けっこうどうでもいいピザへのアレンジ・レシピにスペースを割いているのは、まぁ良しとして、

 

「愛媛のご当地タレントらくさぶろうとコラボしました!」とありますが、

 

で誰だよ?

 

コラボ?

 

と、その内容には一ミリも触れていないため何がどうコラボってるのかは純度100%で謎。

 

どころではなく人物紹介はおろか写真すらないので「らくさぶろう」なる人物、まずそれ自体が謎。

 

パッケージ裏には、これはおそらく、その「らくさぶろう」が演じるキャラクターなのだろうけれども、

 

突然「らくおばちゃん」なる謎人物がイラストで登場するも、やはり説明が無いどころか「はたしてその正体は???」と煽ってくる始末。

 

だから知らないっつーの、を通り越して少しイラッとさせられます。

 

「詳しくはウェブで」とアドレス表記、すら無いという徹底した秘密主義はナゼなんだぜ?

 

このご時世、そのぐらいのことは自力でググレカスってか?

 

いや、そのきっかけをここでこそ持ってもらわなきゃ、紹介しなきゃのご当地カレーなんじゃないの?

 

「私は誰でしょう?」なんて書かれた名刺を渡されましても、ねぇ?

 

というわけで、愛媛では盛り上がるのかもしれませんが、他府県の人間には取り付く島もない勢いで一切なにも伝わってませんよ?

 

地産地消目的で生産しています、ってわけでもないなら改善されたほうがよろしいかと。

 

 

 

 

広島「戦国カリー 毛利元就の陣」(一部端末では表示できない文字をカタカナに変換しています)

 

 

今場所の千秋楽、結びの一番を飾るこのカレーだけは他と少々異なる経緯をたどって登場。

 

地元・広島のお客様が近所のスーパーで見かけて、

 

「てぇへんだ親分!こんな不届き者がいやがったぁ!叩き斬ってくだせぇ!」と当店に持ち込まれた代物。

 

いや、なに目的のブログだよ?そもそもの主旨な?

 

とお断りしようにも、このパッケージを一目見てしまったからには捨て置くわけにもゆくまいて。

 

どぉれ、一から順にゆるりと潰して参ろうぞ。

 

 

瀬戸内の穏やかな気候に育まれた新鮮な毛利元就がギュッとつまった贅沢なカレーであるはずがないならば、

 

どこいらあたりが毛利要素かと言えば、

 

あまりにも有名な例の故事になぞらえて、広島を代表する三つの素材を一つに合わせたご当地カレー、

 

などとどの口が言うのか?

 

一目瞭然でネタバレですが、まずは箱の左上をアップに。

 

 

さて、

 

律儀に上から一本ずつ、へし折って行きましょう。

 

 

一本目「広島産の梨」

 

このブログの懸命な読者様ならお気づきでしょうが、出たよ、梨。

 

どうしたって梨とカレーは相性が悪く、梨を活かせばカレーが死に、カレーを活かせば梨が死ぬことは明白な事実であるにも関わらず、

 

なぜご当地カレーはこぞって梨を使いたがるのか?

 

普通はリンゴのところをあえて梨のオレカッケーなのか?

 

はたまたご当地カレー業界と梨ギルドの間には水面下にて取り交わされている秘密の黒いつながりでも存在するのだろうか?

 

そして、なぜ都道府県別生産量で25位なんて中途半端な広島の梨をご当地の素材として筆頭に掲げてきたのかも謎だけど、

 

それでもまだ広島産だからね、うん。

 

さぁ、一気に加速するぜ?

 

しっかりつかまってな。

 

 

二本目「ブレンドスパイス」

 

ブレンドしちゃったよ!複数じゃん!

 

三本の矢どこいった?!

 

広島もどこいった!?

 

まだ二本目なのにあきらめるの早過ぎだろ!?

 

てか、カレーにブレンドスパイスって当たり前じゃね??

 

むしろ使ってなかったらカレーじゃなくね!?

 

ちょっとナニ言ってるのかわからないんですけれども容赦なく次。

 

 

三本目「沢山の野菜」

 

なんなんだオイ?

 

日本語が不自由か?

 

来日三日目か?

 

沢山て言っちゃったあああああーーーー!!!

 

三本て言うてたのに三本目で沢山て言っちゃたああああーーーー!!!

 

三て数の意味ぃいいいーーーー!!!

 

沢山て言葉の立場ぁあああーーーー!!!

 

二本目で投げておいて三本目で自己否定ぃいいいいいいーーーー!!!

 

こうやって一本の矢では簡単に折れてしまうじゃろう?二本でもじゃ、しかしこうして三本目に沢山の矢を束ねてやればそりゃ折れねぇえええええーーーー!!!

 

何本の矢ぁーーーー?!

 

メニーメニーねぇーーーー?!

 

無敵を信じて雨のように降ってくる矢の中を歩いても無傷だったっていうアレキサンダー大王でさえ即死する勢いで撃ってきてるぅーーーー!!!

 

つーか野菜ぃいいいーーーーー!!!

 

ふつうーーーー!!!

 

それはカレーに当たり前ーーーー!!!

 

いるよーーー?!

 

沢山の野菜ーーーー!!!

 

カレーにぃいいいいいいいいいいいいああああああああああーーーーー!!!

 

 

てなわけで、味?

 

もはやそんなことはどうでもいい話しだしお察しください。

 

「毛利元就」要素ゼロ。

 

よくよく考えてみれば「戦国カリー」ってなんだよ?変なところにだけ凝ってロクに変換もできやしない文字まで使ってさぁ?

 

「毛利元就の陣」ってのもどういう意味だよ?

 

ねぇ、ここには何か一つでも本当があるの?

 

・・・ナシ?

 

いや、誰がウマイこと言えと。

 

というか、

 

エ?コレハイッタイナンデスカ?

 

こういう便乗商法的な誠意の感じられない商品を目にすると、

 

特にそれが飲食物であるならばなおのこと、怒りとやるせない感情がこみ上げてきますが、

 

それ以上に思うのは、

 

こんなモノでもきっと、少なからずの大人達を経由しているであろうにも関わらず、

 

世に出るを止められず、

 

あるいは喜々として送り出され、

 

そしてそれを仕入れ、売り、買っている人が現実に存在するのでしょう?

 

なんとなく、まぁ、売れればいいか?食えればいいか?と。

 

構造的には同じなのだよなぁ。

 

分散された責任ならば誰も使命と感じぬままに、気付いた時には手遅れでも、その問題の一端を担う構成要因の一つであったことさえ無自覚、とか。

 

今回のこれでないがしろにされているのは情報面だけだとして、

 

技術面が犠牲にされた場合、

 

安全面が軽視された場合、

 

より利益優先で全てにいい加減になった場合でも、はたして笑っていられるか?

 

相変わらずの事件・事故が起きてしまうなら、

 

違和感には敏感に、

 

ありえないを見逃さず許せないとしておかなければいけないの、とか思うよ?

 

コワイ。

 

もう本当にコワイ。

 

私の心の矢も折れたところで(ウマイ)今回はお開きと相成ります。

 

モヒート解禁2016

  • 2016.07.02 Saturday
  • 21:24

 

遠慮知らずな梅雨前線の影響で今だ連日溺れてしまいそうな湿気の中でもじわり熱気は上昇してきて、

 

もうあれだね、

 

夏いね。

 

というわけで今年もやってまいりました、こちら。

 

 

違うよ?それは十年経って管理もずさんになってしまったせいで望まぬ悲劇の超進化を遂げてしまったけど、今も愛・地球博記念公園(モリコロパーク)の片隅で地縛霊のようになりながらでも皆様方のご来場をお待ちし続けているマスコットキャラクターのモリゾーとキッコロだよ。

 

ちなみに在りし日のお姿がこちら。

 

 

と、毎度の一ボケも完了しましたところで肝心のイエルバ・ブエナの現物写真は、

 

これまた毎度のことならば、別段代わり映えのしない画ですからしてわざわざアップはしませんが、

 

この七月の一日より、モヒート解禁にてございます。

 

いよいよ今年ともなりますと、もはやイエルバ・ブエナなるハーブなどとは、誰でも知ってるしどこでも手に入る代物となり、

 

今の今、イエルバ・ブエナでどうのと言うのはむしろ逆に恥ずかしい気もしますけど、

 

お客様問い合わせ件数五年連続ナンバーワン!休日・夜間も休まず営業!トークサービスも無料でつくつくぅー!

 

な、当店といたしましてはこれをやめるわけにもいかず、

 

五年っ!?

 

マジか・・・。

 

ともかくもご報告まで、

 

なのですが、

 

老婆心で余計を一言。

 

本当に、色んなところで色んなイエルバ・ブエナが手に入るようになりましたが、

 

私とてキューバに行って現物と比較したわけではないにしろ、

 

「これ本当にイエルバ・ブエナか?」と、真偽のほどは置いといても素材としてメケメケな代物が多すぎ。

 

元が雑草のごとく繁殖力旺盛ならば育成は簡単です。

 

が、環境によっては味や風味どころか種別までもが変貌しかねない植物よ?コレ?

 

素人がその辺で栽培してりゃ、だいたいスペアミントの出来損ないに落ちぶれるのが関の山。

 

あくまでも目的のための手段として選択する一材料であるならば、

 

ましてやコレさえ使っていれば美味しく作れるだろう、飲めるだろう、なんて魔法のハーブであるわけもないならば、

 

どうかその辺り、作り手様も飲み手様も、十分にご用心あそばせませ。

 

本場と同じ材料!(かどうかも疑問にしても)を使っただけで本場を再現するなり越えることができれば苦労はないよ。

 

卵が問答無用に旨いからオムレツが美味しいわけじゃない。

 

はたまた最高級の和牛ステーキ肉だって焦がせばただの炭。

 

そういうこと。

 

と、書きながら思い出したけど、

 

なんか似たようなことを結局毎年書いているような気がする。

早すぎる蝉の声に煽られて蛙鳴蝉噪にこの頃のこと。

  • 2016.07.08 Friday
  • 01:02

 

仙台に来てまーす。

 

 

ウソでーす。

 

当店近くのアーケードの七夕飾りですが、いつから広島にこんな風習が?

 

「七つ飾り」のつもり?なのでしょうが、

 

見た目だけを真似てとりあえずを取り繕う姿勢、先生嫌いだな。

 

理解をしていないのにわかった風ができても堂々と間違えてるなら羞恥心すら無いのだろうけど、

 

実際にやってることはコレと変わらないなら、彼の国の無節操を笑えないよ?

 

 

と、年間を通しても屈指のロマンチックデーのはずが別段なに事も無いこんな夜は、どうでもいいことを書き連ねてヒマを潰してみようかな?という所存。

 

あらためまして、こんばんは、

 

帰宅途中に二日連続で雨に降られた翌日から今度は三日連続で右目にだけ虫が飛び込んでくるという盛り上がりに欠けた地味な災難に襲われ続け、いやさこれが地味だからこそジワジワと、しかし確実に私の心を蝕んで、誰にも届かぬ無罪の主張も虚しく、後に残った得も言われぬ敗北感に、いい歳をしながら少しだけ泣きそうになった男、

 

サヰキです。

 

近頃の私といえば、お気に入りのゲーム実況者様が約一年ぶりに復活されたことぐらいしか喜ぶべきことがない、軽く物悲しいながらもある意味平穏な日々を過ごしておりましたが、

 

彼女もまさか私の膝の上に勝手に乗せられてゲームをプレイしている、それはまるでお家デートでもしているかのような病的かつ危険な妄想を目的として視聴されているとは露とも知らないことだけは、なんとも気の毒でなりません。

 

すまぬ。

 

遊んでいるばかりではなく、

 

いよいよ第四弾となってもはやレギュラー化しているっぽいけど頑なに明言だけは避け続けているヴィシソワーズの、

 

今回はジャガイモにこだわって、通常はその仕上がりを考慮して「メークイン」をセオリーとするところを、

 

さらなる味の深みを求め、低温長期熟成によってデンプン質を糖化させた「ホクレン」のオリジナルブランド「よくねたいも」より、品種は「きたむかい」をチョイスして加えてみました。

 

 

今さらなにをしているのかと己に問うようなマネはしない。

 

こうなったら見つけてやるさ、自分なりのヴィシソワーズの、その答えってやつをなぁ!

 

で、先日のこと、

 

同業者が後輩を連れて来て「勉強になるから飲んどきなよ!」とか言ってヴィシソワーズを薦めるも、(いや、ウチはBarなのだがね?)

 

コレを口にした後輩曰く、

 

「ジャガイモと牛乳を混ぜれば作れるんですか?」

 

と問われても朗らかに「あはは」と笑っていられた私はようやく大人になれたのか?いよいよ絶望の底にたどり着けたのか?

 

まぁ、これで相手が野郎なら、だってなにしろウソでもバーテンダーだってんだからキレてた可能性は否めないけども。

 

「美味いもの作りたいなら美味いもの食っときな」とだけ言っておきましたが、何がどの程度伝わったかは謎です。

 

ところで、

 

パーフェクトは達成したものの、やりごたえがイマイチなら達成感も希薄で、

 

別段、特別なご褒美があるわけでもなく、なんだかぁ?と。

 

ソリティア。

 

 

有料のプレミアム版にバージョンアップすれば何か変わるのでしょうか?

 

え?

 

封印したんじゃなかったのか?って?

 

大人はね、嘘つきなんだよ。

 

本当のことばかりじゃ生きてゆくのが辛いのを知ってるから。

 

トワイスアップ

  • 2016.07.12 Tuesday
  • 03:27

 

流石にここのところ、あまりにも酒の話しが無かったので、

 

なんて今さら気にするタマでもないなら、ちょっと店でそんな話が出たので書いてみよう的な。

 

「トワイスアップ」

 

って、何?

 

という方のためにまずはご説明。

 

ウイスキーでも特にスコッチに用いられる飲み方の一つです。

 

グラス(テイスティング・グラスが望ましい)にウイスキーを注ぎましたらこれに同量の、そして常温の水を注ぐ、

 

言わば一対一で作る氷なしのぬるい水割り。

 

ストレートは正確に言えば「ストレートアップ」。

 

トワイス(twice=倍増し)にした(ストレート)アップ、ってことで名前はまんまでございますが、ストレートはアップを省略するのが常だしオーバー・ジ・アイスだってロックなら、コレだってただトワイスと言っても良さそうなのに、なぜか不思議と略した人に出会ったことがありません。

 

ウイスキー製作に携わるプロのブレンダーがテイスティングをする際にも行う手法で、

 

そのままでは刺激が強すぎるウイスキー内の構成成分をつぶさに、かつ明確に分析するに適しており、

 

特に香りについては常温の水を用いることでポテンシャルを殺すことなくその隅々まで堪能できるとあらばウイスキーの飲み方としてはコレが最も素晴らしく楽しめーる方法なぁのだぁー!

 

と、

 

私の記憶が確かならば、プロが選ぶ鵜呑みにされては困るけど、さもノンフィクションっぽく描かれているものだから事故があとを絶たない実害実績No.1の迷惑グルメ漫画第一位にして、その実ちょっとでも賢いかひねくれた人が冷静に見ればネタの宝庫であるがゆえに格好のオモチャでお馴染みの「美味しんぼ」は第70巻「スコッチウイスキーの真価」にて紹介された1999年以降、

 

急速に普及していったように思います。

 

なにしろ通っぽい、いかにも違いの分かる人のオーダー、素敵、カッケー、もう抱いてっ!

 

などと持て囃されて、今だそれっぽい人がそれっぽく注文されることが絶えませんが、

 

はっきりと断言しておきましょう。

 

マジでダセーよ?

 

広まりだした最初期からして識者の間では疑問視されていましたが、

 

実際のところ私の身近の「ウイスキー知ってるな」と信用できる人物は皆一応に否定的でしたし、

 

私自身も同感でした。

 

が、

 

「お前ウイスキー飲まないじゃん?」「全然わかってないよね?」って連中こそがやたらにゴリ推ししていた印象が強いんだよなぁ。

 

だってそりゃもうなんたってまず不味いもん。

 

いっそ冷やすか、はたまた割るのならばともかく、

 

常温で同量の水を加えたウイスキーなんてものをなぜにありがたがれるのかが謎。

 

かつて私はトワイスアップが最も適したウイスキー、なんてものに巡り合った試しがない。

 

味覚はそれぞれだし好みですセンスです、と言われてしまえばそれまでなのかもしれないにしてもです、

 

初手からトワイスアップにする理由、これが本当にわからない。

 

確かにウイスキーは少量の水を加えることで変化し、モノによっては喜ばしい変貌を遂げてくれる銘柄もあるので、

 

「こちらは少し加水すると化けますよ」などと助言させていただく場合が私にもあります。

 

だから水を加えること、それ自体は「あり」ならば、

 

「加水したいから水ちょーだい?」と言っていただければそれで結構なのです。

 

しかし端から「トワイスアップで」と注文されては、せっかくの過程の部分を放棄するばかりか、大体にしてスイートスポットを大きく通り過ぎてしまった、取り返しのつかない状態の、台無しとなった結果のみをご提供することになるわけです。

 

で、そもそもがコレ、あくまでも「テイスティング」というか「味見」に特化した方法であり、決して「飲み方」ではありませんからね。

 

プロのブレンダーが味見をする方法です。

 

味を犠牲にしウイスキーとしてを破綻させても分析が必要なのは確認と、そしてその後に修正が必要だからこそ。

 

テーブルに運ばれてきたスープに指を突っ込んで「シェフはこうやって味見するんだぜ?」なんてする必要はないし、

 

テイスティング・ノートをつけたいからにしたって仕上がってきた完成形の感想でいいじゃん?

 

完成像をわざわざ分解して構成素材を分析したって作り直しも利かないなら作品をぶっ壊してなんになるの?

 

こちとらもなるべく作品の素敵な鑑賞法を推奨すべくある立場なら、やはりオススメできないどころか否定せざるを得ないのですなぁ「トワイスアップ」なるオーダーは。

 

結局のところ、通ぶってドヤ顔を決めたい漫画から仕入れたネタを、「これ知ってますか?」と得意になりたい提供者が、通ぶりたい消費者、「トワイスアップで」と言いたいだけの人達に広めてしまい、気が付けば定着していた奇妙なオーダー、といったところでしょうか?

 

今ではメーカー様まで推奨するに至っているのであれば、なにしろ生産者が推す鑑賞法の一つですからして、ひょっとすると私のセンスがポンコツである可能性も否めないのですけどね。

 

件の漫画の作中でも、なんたって本場イギリスの職人さんから聞いた本場で楽しまれている本場の飲み方、みたく紹介されてましたし。

 

だが、

 

しかし、

 

「twice up」とググっても、そんな言葉自体が日本以外ではほぼ存在していないような検索結果が出るんだよなぁー、なんでだろうなぁー、不思議だなぁー。

 

 

ミントジュレップ、再び。

  • 2016.07.19 Tuesday
  • 02:05

 

ここのところ当店のミントジュレップはメーカーズ・マークのボトリングモノを使用していましたが、

 

美味いことは美味いにしても上品というか、なんとも上等過ぎて(お値段も)、

 

やはりアーリー・タイムズの、あのチープさが恋しくなり、とある酒屋を覗いてみたところ、

 

「第132回ケンタッキーダービー・オフィシャル」と記されたボトルだからおよそ十年前とかいう、絶妙に無駄なプレミア感を有したプチ・オールドボトルが転がっていたもんだから買ってきましたとさ。

 

 

隣に写っているのはモヒート用のイエルバブエナですが、

 

少なからずコレにも関係してよくあるご質問と、

 

今回調べものをしておりましたらば、いくつか気になったお話について、ちょいと語っておきましょう、と。

 

ミントジュレップに関しては以前にも記事にしていますから重複する部分も多いですが、

 

今一度、ってことで。

 

まず、「モヒートはイエルバブエナなんて特殊なハーブまで取り寄せて一から作成するのに、ミントジュレップは出来合いを注ぐだけなのはいかがなものか?せめてフレッシュ・ミントで作らねば手抜きでは?」と、

 

主に若いバーテンダーの方から、聞かれることが多いのですが、

 

いえ、ウソです、多くはありません、少し盛りました、聞かれたことがある、程度ですがなんだよ気軽に聞けよ?あのー、聞いてもいいですか?とか妙にビクビク窺うように尋ねる子が多いのはなんなのさ?逆に傷つくわ、優しいよ?オレ、あれ?ビオレママかな?とか間違われるぐらい優しいよ?初対面の女の子の三人に二人からは「えー?ぜったい弱酸性でしょー?だって優しいもーん!」って言われちゃう勢いだよ?

 

はともかく、

 

だから、共通してどちらも本場をリスペクトし、云われと経緯を尊重しているからこその選択肢なのだよ、と。

 

モヒートの本場をキューバの「ラ・ボデギータ・デル・メディオ」だとするならば、なるべくこれに近しい材料をもって作成しよう。

 

一方ミントジュレップの本場が「ケンタッキーダービー」で飲まれているそれとするなら、オフィシャル・メーカーのボトルを使うことがなによりでしょう。

 

テイストの、コンセプトというか雰囲気からしてもそう。

 

言ってもキューバの飲み屋でオッサンがワシワシこさえているグラスならば一から手作りで、良く言えば野趣溢れるワイルドな仕上がりにしたいからこその作り方を。

 

片や脳天が割れそうなほど甘くてチープな菓子好きのアメリカ人が競馬を観ながら飲んでるジュース・ジュースした出来合いカクテルは、例えるならば「うまい棒・コーンポタージュ味」であって、コレを素材にこだわり北海道産のトウモロコシを使って全て手作りでウンヌン言っても仕方がないのでは?っていう。

 

で、「イエルバブエナでミントジュレップを作るのはナシ?」って、これはもちろん圧倒的に無し。

 

なんならウチのモヒートはイエルバブエナがベースのカクテルならばそれ専用の代物。

 

ベースを挿げ替えちゃ、ね。

 

あとなんか野暮。

 

粋じゃない、節操がない。

 

ダサイ。

 

して、こっからは完全にただのウンチク。

 

「ミントジュレップ」に関しての情報が迷走・錯綜しまっくていたのでちょいとばかしぼやいておきます。

 

とにかく「ケンタッキーダービーの公式カクテルです」と紹介されることが多いミントジュレップですが、

 

正確な所を言えば、カクテル自体がオフィシャルってわけではなく、公式たる重きは「どこのメーカーがベースか」なのだよなぁ、これが。

 

ミントジュレップ自体、当のケンタッキーダービーでは様々なバリエーション、

 

チョコにショウガにスイカ味などなど、呆れんばかりの種類があるだけに止まらず、

 

スパイシー・ブラッディー・メアリーなど、その他カクテルだって販売されてるのに加えてワインありシャンパンあり、

 

多種多様なドリンクが販売されているので、

 

それらを提供しているケンタッキーダービー「オフィシャル・スポンサー」に、どこのメーカーが選ばれ、なんの銘柄が選択されたか?

 

「公式」を論ずるならばまずはそこ、っていう。

 

ケンタッキーダービーの公式サイトを見てみなよ?

 

「オフィシャル・ドリンク」とはあっても「オフィシャル・カクテル」なんてどこにも無いばかりか肝心のミントジュレップの頭にはメーカー名が付けられているならそれ以外のベースを使って公式はありえないでしょ?

 

で、

 

ことミントジュレップに関しては長年にわたり「アーリー・タイムズ」が公式だったことが重要なのだけど、

 

「だった」と過去形なのは2014年を最後にこれが変わってしまったから。

 

最大の理由は「アーリー・タイムズ」がバーボンではなくなってしまったからと言われていて、

 

現在のアーリーは日本輸出用のボトルを除き、内側を焦がしたオークの新樽で熟成する、というバーボンがバーボンと名乗るに必須とされるこの工程の内、約20%を再利用の樽を使って作られているので、すでにラベルからもバーボンの文字は消え、名実ともにケンタッキー・ウイスキーという格下ジャンルにて販売されています。(念を押しておきますが日本輸出用はちゃんとバーボン)

 

ミントジュレップなるカクテルはバーボンをベースとすべきを譲れないならばこれにふさわしくない、と、

 

現在はバーボン・ウイスキー「オールド・フォレスター」が公式ミントジュレップに使われるボトリング・カクテルを製造しています。

 

 

と聞くと厳正なる審査の元に選ばれるべきメーカーが選択されたような印象を抱くけど、

 

なんてことはない、親会社は同じメーカーの別銘柄に変わっただけで、

 

要はアメリカ本国ならずとも、アーリーをよりリーズナブルな大衆酒に降格し、これにとって代わるスタンダード品にフォレスターを推したいって販売戦略的策謀だったりして。

 

本音を言えばこのフォレスターのボトリング・ミントジュレップが今一番欲しいのだけれども日本で普通には手に入らないのです現在。

 

しかしてここにもう一本、登場いたしますのが「ウッドフォード・リザーブ」。

 

 

写真はパッと見、「あれ?ミントジュレップにしたボトルを作ってるの?」と思わせておいてラベルがダービー仕様なだけね。

 

やっぱり同一企業の一ブランドなのだけど、つまりはウッドフォードの上、今時流行りの言葉で言えばこだわりの「クラフト・バーボン」ってやつ。

 

先に述べた実は色々種類がある本場のミントジュレップには大別すると二つのバリエーションあり、

 

内一つがフォレスターを使った言わばノーマル・バージョン。

 

そしてもう一つが、このウッドフォードをベースに使ったプレミアム・バージョン。

 

何が違う?

 

値段が違う。

 

うーん押し寄せる格差社会の波。

 

出来合いのボトリング・カクテルは作らず、あくまでも「オフィシャル・バーボン」という位置づけで「ウッドフォードでミントジュレップを作ってあげる」ってスタンスからして特別扱いっぷりがうかがえますが、

 

その最たる例としては、なんと価格にして一杯10万円以上!

 

世界各地から取り寄せたアホみたいに凝った副材料を使用して作られるスペシャル・バージョンもあるし、なんならさらにその上に2500ドルもするウルトラレアカードキター!!

 

 

と、こちらはオマケであるはずが凝り過ぎてメッキにジュエリーまで施したカップこそがメインみたいなものだし、そもそも引退馬関連の慈善団体への寄付が主旨なのでネタとして、

 

いや、もう直接募金でよくない?

 

も置いといて、つまりのところ、まとめときますよ?

 

ケンタッキーダービーで「よく飲まれているカクテル」が「ミントジュレップ」。

 

これを「オフィシャル・ドリンク」として「ボトリングモノ」も作成・販売していたのが「アーリー・タイムズ」、

 

だったけど今は「オールド・フォレスター」、の上に「オフィシャル・バーボン」として認定されベースにも使われているのが「ウッドフォード・リザーブ」。

 

えー?めんどい、

 

ならそれでも飲み手さんなら良いけれど、

 

提供者はここ、キチンとしてないと「公式」の意味よ?

 

ふわふわしてると全然関係ないバーボンに、それは確かに本物かもだけど、安物のケンタッキーダービーの記念カップを抱き合わせた胡散臭い商品とか売りつけられたりしちゃうよ?

 

いや、これが実際にあるからびっくりなんだけどね。

 

まぁ輸入代理店様からして、もはやバーボンですらないボトルをミントジュレップのベースに推し、これが本場のぉ、公式カクテルぅ、とかやってる我が国ではどうでもいい話しなのかもだけど。

 

あらためまして、公式要素が一つも無いレシピで作成したグラスを、「これはケンタッキーダービー公式カクテルです」とか紹介してたら産地偽装レベルのウソでしょ?

 

ダービーを語らずに一カクテルとしてミントジュレップを作ってるならいいけど、

 

にしてもせめてやっぱりバーボン以外で作るのってどうかと思うけど?

 

とか言い出したら巷で飲まれているモヒートの大半は、あれは一体なんなんだ?って話になるか?

 

ふーむ。

 

手遅れ?

 

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