マンチーノ・ベルモット「キナート」

  • 2017.05.01 Monday
  • 01:21

 

まずは復習。

 

その最初期は薬効を期待して。

 

ワインに香草等を漬け込み飲用していたとする文化は世界各地で見受けられますが、その歴史は古いものになると紀元前にまで遡ります。

 

1786年、既存の風習を参考にしつつも斬新にして独自の製法が生み出されたのがイタリアはトリノでのこと。

 

これをドイツ語で「ニガヨモギ」を指す「wermut」に由来して「vermouth」と名付け、商品として確立させ売り出した最初の人が「アントニオ・ベネテッド・カルパノ」さん。

 

 

で、ご覧の通りの「vermouth」をあえてカタカナ表記するなら「ヴァームース」が近そうなものの、

 

なぜか日本では「ベルモット」と、

 

昔から識者が「ベルモットて言う人が増えてますけれども違うよ?」とツッコミ続けてきたにも関わらず、

 

なぜか日本では「ベルモット」と、

 

無勢が多勢に押し切られて定着してしまいましたとさ。

 

そんなわけでイタリア生まれの「ベルモット」。

 

誕生したてこそ現在で言うところの「スイート」とか「ロッソ」と呼ばれる甘くて赤い(原料はあくまで白ワイン、色は香草由来と着色)バージョンしかありませんでしたが、

 

後にフランスでこれより甘さを抑え、色も無色に近い「ドライ」が作られだしてからは、

 

ベルモット界においては赤のイタリア、白のフランス、

 

「IT(イット)」とだけ言えば、それは必然イタリア産スイート・ベルモットを指し、

 

「フレンチ」と伝えたにも関わらずフランス産ドライ・ベルモットと解せなかった暁には、皮手袋で両頬をシルブプレされても文句を言えません。

 

もちろん現代では、イタリアで言うところの「ロッソ」に当たるフランス版の赤、スイートの「ルージュ」もあれば、

 

フランスで言うところの「ドライ」たるがイタリア産の「セッコ」「ビアンコ」と一通りがありますが、

 

いずれにせよ、

 

「ダメだダメだ!近頃のベルモットはなっちゃいないぜ!オレが本当のベルモットを見せてやる!」

 

と登場したのがイタリアのカリスマ・バーテンダー「ジャンカルノ・マンチーノ」さん。

 

 

2011年にオリジナル・ブランドを立ち上げてベルモットの製造・販売を開始したのですが、

 

だってこんな、

 

「やだ、すごく注いでる///」みたいな写真からもうかがい知れるとおり、

 

いかにも私が苦手とする方向性のパフォーマンスこそがむしろ大好きそうにしか見えないバーテンダーさんの、

 

しかも流行りのいわゆる「クラフト系」なわけじゃないですか?

 

と、ずっとスルーしていたものの、

 

この度新しく登場したボトルには、だがしかし好奇心が勝ってしまって購入してきたのがこちら。

 

マンチーノ・ベルモット「キナート」

 

 

最初からリリースしていた「セコ」「ビアンコ」「ロッソ」、三種のベルモットをブレンドした上に「赤」ワインを加え、さらにみんな大好き「キナ」の風味を強化したボトル。

 

当店の、優しめ甘・ウマ系香草リキュールフェチさんに人気な「キナ・キナ」の、

 

これの低アルコールっぽい感じだったらいいなぁ?(キナ・キナは40度、キナートは17.5度です)

 

と目論んでみたら、まんまそんな感じでしたから美味しいです良かったです。

 

しかしベルモットではないよな?もはや。

 

ところでちなみになんですが、

 

「セコ、ビアンコ、ロッソ 3 種の濃縮液に更にキナ(キニーネ)とレッド・バルベラ・ドゥ・アスティ DOCG を加えた。」(原文まま)

 

と、メーカー様から酒屋さんからバーテンダーまでもが揃いも揃って同じご解説をされているあたり、

 

相も変わらずコピペでヨーソローなのでしょうけれども、

 

なんですか?


はたして「なんの説明」をしているのか?


私には意味がわからないのですが、

 

特に「レッド・バルベラ・ドゥ・アスティ」て?

 

どこの国の言葉ですか?

 

ねぇ?

 

ナニが加えられてるって?


さては全力で分かってないんでしょ?

 

イタリアの赤ワイン「バルベーラ・ダスティ」のことでしょ?

 

さすがに酷いよ?

 

ソムリエじゃなくたってだよ?

 

さすがのさすがにレベルがアレだよ?


100均に転がってそうな不自由すぎる日本語の説明書きが添えられた中国製文房具かよ?

 

理解が無いなら説明なんかしちゃダメなんだよ?

 

それはもう、ただの嘘だからね?

 

解ってないんだもん。

 

なのに教える?

 

は?

 

だからなにを?


気付いて当然の違和感さえも平然とスルーしてしまう程度の器で人様にものを説いているような連中がプロなんだもんなぁ、


この業界。


お咎めもなく。


叩かれて避けられてはむしろコッチだったりするわけで。


はぁ・・・。

 

しかして数年後、

 

Bar業界においては「バルベーラ・ダスティ」のことを「レッド・バルベラ・ドゥ・アスティ」と呼称するようになるのであった。

 

「ヴァームース」が「ベルモット」と呼ばれるように。

 

ってことか、

 

なるほどね。

 

みたいなことをさー、

 

おこがましいながらも?

 

警鐘と啓蒙?

 

ずっと書いてきたつもりだけど、

 

結局なにも変わらないし、

 

伝わりゃしないのよねぇ、

 

きっと。

 

あぁ、

 

無力。

 

道聴塗説

  • 2017.05.06 Saturday
  • 00:44

 

実はその意味するところまでは理解をしていないものの、

 

なんとなくで覚えた単語を、なんとなく使ってみたところ、

 

真に理解している人との会話が嚙み合うはずもなく、後々恥をかくハメになってしまった。

 

よくある話しです。

 

自信が無いなら使わない、そして単純に質問していただければよいのです。

 

知らないことは恥ではなく、むしろ素直に聞けるのは、それは素敵な事なのですから。

 

厄介なのは「知っている」と思い込んでいる人が、しかし無自覚に「間違っている」場合。

 

何をもって「知る」とするか、

 

見解の相違、これの衝突によって時折起きてしまう事故です。

 

言葉だけを知っている人と、内容までを理解して初めてこれを「知る」と定義する人。

 

後者からすると前者はただの「知ったかぶり」です。

 

きっかけの「単語」だけを共通の入り口として、

 

「おや?ご存知ですか?では」と話を進めるうちにやがてズレが生じてしまっては、

 

お互いが不愉快な気持ちにもなりかねない面倒に発展してしまう恐れすらあります。

 

私はバーテンダーです。

 

何のことを語っているか、もうお分かりですね?

 

そう、

 

「イージス艦」です。

 

さっそく結論にして極論、イージス艦なる艦艇は存在しません。

 

イージス艦とはアメリカ海軍によって開発された防空戦闘特化型の艦載武器システム=イージス・システムを搭載した搭乗型兵器の中でも、特に艦艇を指して使う用語のことです。

 

したがってあくまでも総称であり、イージスなる艦名は分類上にも存在せず、日常、ニュースなどでもしばしばイージス艦と紹介される「こんごう」「あたご」といった海上自衛隊保有の艦も正確には「ミサイル護衛艦」に属します。

 

その開発国でもありイージス・システム搭載型の艦艇を世界で最も多く保有するアメリカにおいても、巡洋艦・駆逐艦・フリゲート艦の三種のいずれかに分類されるのです。

 

そもそもイージス・システムとは何か?

 

極力簡単に説明するならば「めっちゃスゴイレーダー」をもってその範囲内に侵入した同時多数のあらゆる存在を認識し、「わずらわしい連絡」を必要とすることなく連携、あるいは単独においてもこれに即リアクションを起こして「必ず排除する」という、

 

ギリシャ神話より引用した最強の盾の名が伊達でない、まさに結界と呼べる絶対守護領域を生み出す「仕組み」を言います。

 

この「めっちゃスゴイレーダー」の名が「SPY-1」、「わずらわしい連絡」を「高度情報処理システム」で解決し、「スタンダード対空ミサイル・システム」で「必ず排除」と、

 

具体的には以上の三つの要素を揃えて初めて「イージス・システム」と呼べるのであるからして、

 

それらを踏まえ「イージス・システム搭載型艦艇」=略して「イージス艦」と理解した上での使用であるならば良しとしてだがしかし、

 

もちろんこれ以外、それ以上のシステムであったとしても、異なるを搭載してはイージスとは呼べない、呼ぶべきではないはずが、

 

近頃と言えば、例えるならゲームを全部「ファミコン」と呼称するかのごとく、

 

いやさそもそもゲーム機ですらないものまで、

 

ソフトもハードもなんでもかんでも「ファミコン」と、

 

もとい「イージス」と呼ぶのはいかがなものか?

 

固有名詞が一般化する段階において、特にこれが専門的かつ難解であるほどに拡大解釈が行われた末、本来の意味すら伝わらないままやがて誤用が蔓延ることはままあることですが、

 

なぜだ?

 

なぜ私はイージス艦を語っているのだ?

 

なんのブログだ?

 

それこそが最大の疑問である。

 

掉棒打星

  • 2017.05.21 Sunday
  • 22:37

 

久しぶりぃ。

 

元気ぃ?

 

最近の私ときたら懺悔に埋もれゆく しめやかな光の隙間に 満たされぬ心の訪れと 距離を砕く言葉に嘆いて過ごしておりまして、

 

つまり腐ってましたとさ。

 

とは言え石の下のダンゴムシみたいに微動だにせずイジけて過ごしていたわけでなく、

 

むしろ体力テストで反復横跳びに勤しむ小4男子みたいに忙しなくしていたわけですが、

 

何を今さらな話しを許していただけるならば、

 

振り返るに、偉そうな講釈と何様目線の不満や不平に満ち満ちたように捉えられて致し方ない当ブログを、書いている本人こそが実は不本意に思っていたりするのです。

 

無頼を気取るわけじゃないですけれども、ご存知の方はご存知の通り、

 

それでなくとも言っちゃうほうじゃないですか?私って、直接。

 

大友のアニキほどじゃないけれど「なんだよ?文句があるなら直接言ってみろよバカヤロー!もういいよ!帰ろう!木村!」属性の私なら、

 

「じゃあさ、おかしいはおかしいと直接言って正せばいいじゃない?」と、

 

今回は焚き付けられた感もあったのですが、

 

別に喧嘩を売りに行くってわけでもなく、

 

勉強会というか意見交換というかディスカッションというか、

 

とにかくそういう機会からはとことん逃げ続けてきましたが、

 

そうだよ!

 

話せばいいんだよ!

 

きっと分かり合えるさ!

 

個の利のためじゃなく、業界の質と発展のためにさ、

 

お互い協力し合って!

 

切磋琢磨ろうよ!

 

そのためならおこがましいながらも私ごときの力なんぞいかようにご利用いただいてけっこうですし、

 

まずは話そう!

 

ネチネチと恨み節満載の愚痴ブログを書いてるよりよっぽどマシじゃないか!

 

と、

 

思った私が馬鹿でした。

 

そうだよ、忘れてたよ。

 

指摘より指導より議論より、

 

まず話ができないんだった、

 

会話が成立しないんだった、

 

きゃつらめは。

 

ゆえに、この程度のものですが私の知りうる情報を欲しているかもしれない、理解と共感を得られるかもしれない、

 

何処かにきっと居るであろう誰かに向けて種を飛ばそうとブログを書き始めたのがそもそもでしたそうでした。

 

初心を思い出せただけ収穫といたしましょう。

 

今回は。

 

しかし学習しないね、私も。

 

希望なんて抱くから絶望するなら、そんなものシュレッダーにかけて燃やして捨ててしまえればいいのに。

 

ところで唐突に最近読んだ漫画の話し。

 

マイナーだけど一部にたいへん支持されている、とある映画監督のほぼほぼ自主制作映画を上映してみて舞台挨拶。

 

質疑応答のコーナーにて観客の一人が、

 

「あなたの作品は分かり難くテーマどころかストーリーさえ見えてこない」

 

との意見に対して監督は、

 

「元より人は一人じゃない、だから誰かに媚びる必要もない。共感はさせるものではなく、すでにあるものです」と。

 

「そのような傲慢な考えがあなたを無名のままにさせているのでは?」

 

と続ける客に対して監督はさらに、

 

「知りません。どうせ私と似た感性の者には必ず届く。理解されたい、共感されたい、その想いで自分を誤魔化し始めたら人生に意味はなくなります」

 

だって。

 

すごくいいな、

 

と思いました。

 

シューター・カクテル

  • 2017.05.24 Wednesday
  • 01:30

 

毎度のごとく薄め過ぎたカルピスはすでに向こうの景色が透けて見えそうなぐらい余計が多くて回りくどい当ブログも、

 

多忙な現代社会を生きる時間の余裕のない方々に配慮しますれば、

 

まずは結論、

 

今回と、そして次回の記事を通して最終的にお伝えしたい情報はただ一つ、

 

「当店のカクテルブックにKAMIKAZEなるカクテルは存在しません」という事実のみです。

 

以上です。

 

では、

 

以降、物好きさんのためのお話しのはじまりはじまり。

 

 

先日、とある女性のお客様からこんな体験談をお聞きしました。

 

初めて行った老舗と呼ばれる某Barにて、甘口のショートでお任せと注文したところ「オーガズム」を出してこられて、あたしゃどうしたもんかと困っちまったよ、

 

という相談というかボヤキというか。

 

なるほどです心中お察しいたします。

 

もちろんこのスマートなお客様は黙って飲んで帰ってと、波風立てずにその場を後にされたわけですが、

 

なんなら「どういう意図だ?セクハラか?」とキレても良かったんじゃない?と。

 

カクテルに「シューター・スタイル」と呼ばれるジャンルがございます。

 

主に1970年代のアメリカはディスコなどの盛り場で誕生したとの説が有力で、

 

その特徴は何はさて置きやおら煽って一気飲みをする。

 

ゆえに「シューター」。


で、


「ゴォーーーールッ!!」


みたいな。

 

基本的にショット・グラスに作り、(今回のそれはショートにアレンジされていたようですが)

 

速攻で酔って酔わせて無茶をしようというドラッグ的な用途を主とした悪ノリのドリンクならば、

 

とにかくもう名前からして品が無い。

 

いやむしろあっちゃいけない勢いで、どストレートに卑猥なものから一見普通に思えるネーミングであったにしても、そのほとんどがなにかしら「よろしくない類」の隠語であったりしてこその平常運転。

 

「Barと呼ばれる場」でも供されることがあったにせよ、これらが80年代以降、一躍有名になったきっかけはと言えば、

 

トム・クルーズ主演の映画「カクテル」(1988)に登場して以来とあらば、(名前のみだけど、というのが伏線として活きてくるのは次回の話)

 

作品を鑑賞していただけると一目瞭然、

 

Barと言ったってやっぱり「そっち系」の空間を言うのであって、

 

「至極真っ当な普通のBar」に存在して良いわけがない、

 

もっぱら異端のカクテルである理由の説明が、

 

ねぇ?

 

いる?

 

だって「オーガズム」だよ?

 

「性的絶頂」だよ?

 

オーセンティック(なる言葉を使うのが不本意ではあるけれども)を謳う正統派Barでございと構えた店に訪れていただいた初対面の(じゃなくても)淑女に対して、

 

少なからずの素敵を求めてカウンターにお座りいただいたレディに対して、

 

「イ、イクーーーー!です、どうぞ」

 

なんなの?バカなの?デリカシーって言葉を前世に忘れたまま生まれてきちゃったの?

 

そうでなくとも、例えば私がその店に客として居たとしても、

 

他の客なりバーテンダーが「オーガズム」なんて言葉を口にしているようなカウンターなんて、

 

人が飯を食ってるのに「クソ」とか言ってるようなもんじゃない?

 

イヤだけどなぁ・・・。

 

って話題を先日のブログでも書きました、久しぶりにコミュニケーションをとってみた同業各位にネタふりしてみたところ、

 

私が考え過ぎなんだそうで、

 

そんなの「ただのカクテルの名前」なんだから、

 

だって。


出すよ?作るよ?アリでしょ?


だって。

 

どうやら少数派はこちらのようでしたけど、

 

でも、

 

良かった。

 

これが単に感性の問題であったとしても、

 

これを疑問に思うような人が当店のお客様で。

 

普段からウチに来てくれる同業者連中に同じ話をしてみたところ、

 

「いや、無しでしょう?」と共感してくれて。

 

いや、良くねーよ。

 

大勢がこれを容認している現状は個人的に良ろしくないと考えるのだけれども、

 

しかたがない。

 

たまには我を捨てて皆様に貢献して差し上げましょう。

 

シューターはその飲み方も重要なのですが近頃の若いもんはこれがなっちゃいない。

 

これは大事なことですが、シューターは名前だけの存在ではございません。

 

その誕生の経緯からしても「そっち系の意味」をしっかりと内包しているのですから、

 

「名は体を表す」を地で行くグラスの、あるべきを体現できなければ、もはやそれはシューターに対して失礼であり冒涜です。

 

言うなればシューターとは「お題」です。

 

いかに「それらしく」飲むかがポイント。

 

例を挙げるとたとえば同じくシューターに属する「ブロウ・ジョブ」。(意味はググってどうぞ)

 

下の動画を参考に全力でいやらしく下品に飲み干してください。

 

 

うーむ。

 

サンプルを出してはみましたが、この女性は基本となる「ノーハンド」というポイントは押さえているものの、いかんせん「焦らし」と「思わせっぷり」が足りませんね。

 

特にフィニッシュは笑ってんじゃねぇよ!エロさが足んねーんだよ!最後は上目遣いで舌なめずりだろうがっ!

 

と、そこいら辺りはさすがあるべき飲み方なればこそ関連動画も豊富なので各々補足していただくとして、

 

その他、「B-52」なら飲み干すやいなやグラスを床で叩き割るとか、

 

「ウォーター・メロン・ボール」や「スリップリー・ニップル」のようなバスト系ならばもちろん胸に挟みつつ、もはやわざとこぼしていく姿勢で。


言わずもがなセクシーさを忘れずに、


いや、


違うな、


セクシーなんて品を残した雰囲気止まりのところはスタンダードの「ビトウィーン・ザ・シーツ」とか「キス・オブ・ファイヤー」あたりに任せておけば良くて、


シューターはもっとこう下卑た、とにかく底抜けに頭が悪そうで、どうしようもない感じが肝要なのです。

 

件の「オーガズム」なら、そうですね、ガックガク痙攣しながら叫んでおいて、バーテンダーなり他の男性客をトイレにでも誘っておくのが正解だったのでしょうか?

 

いかにアレンジされていようとも、シューターを頼んだからには、出されたからには、シューターらしくヤるべきです。

 

きっと肯定派のバーテンダーさんなら喜んでくれるはずです是非どうぞ。


マイノリティーらしいのでさほど心配はいらないでしょうが、


当店か、あるいは注文に応じてもらえないどころか、その名を口にしたこと自体を咎めてくるような、私が思うところの「普通のBar」で無理強いしようものなら張っ倒されますでしょうからしてあしからず。



KAMIKAZE

  • 2017.05.30 Tuesday
  • 00:27

 

一言で言ってしまえば、シューターなるはBarで嗜むべきカクテルの類などではない、

 

と一蹴して話は終わりだ、はい、解散。

 

ではもの足りないんだろう?この欲しがりやさんめぇ話を続けます。

 

実際のところ良識あるBarではその名を口にするだけでも憚られる「シューター」ならば、

 

必然「そういう類の店」で楽しまれているぶんには何も申し上げるつもりはございませんが、

 

現在「普通に言うところの真っ当なBar」にも、

 

まるでスタンダードのフリをして浸透している一杯、

 

それが「KAMIKAZE」です。

 

レシピはその素性のごとくいい加減なので、概ね「ウォッカ」と「ホワイト・キュラソー」と「ライム」を材料とするものの、比率は色々。

 

なにが正しいとは言えませんが、どうせ一気に飲み干してナンボのグラスなら細かいこたぁいいんでしょ?

 

どんな時、どんな所で、どんな風に飲めば良いかは、参考までに下の動画でも観ておいてください。

 

2分42秒あたりに「KAMIKAZE」も登場しますし。

 

 

その名は日本書紀だの蒙古襲来だの、ましてやスキトキメトキスな忍術に由来しているわけがないならば、

 

もちろん第二次世界大戦末期に行われた大日本帝国海軍の航空機による命を賭した体当たり戦術の実行部隊、

 

「神風特攻隊」(元来はシンプウが正しい読み方だったがカミカゼで定着した)からの安易で幼稚で外道な命名で、

 

意味するところは「ヒャッハー!飲んで死んじまえぇー!」という悪ノリ全開の不謹慎極まりない代物です。

 

アホなの?と聞くのがアホらしいほどあり得ないグラスが、なにゆえ日本では教科書然としたカクテル・ブックにまで掲載され、

 

スタンダードのごとく注文されているのでしょうか?

 

バーテンダーもしたり顔で作っているのでしょうか?

 

個人的推論を過分に含みつつも、概ね経緯は遠からずってやつなんじゃないかな?という話しがこちら。

 

1970年代から80年代にかけてアメリカでは、今でもニューウェーブにカテゴライズされる、要は新種のカクテルが数多く誕生したのですが、

 

なにしろその大半は悪ノリ・悪ふざけの延長線上に位置するものも多く、

 

レシピすら定まっていないものだからして正確な情報が日本には中々入って来ない状況にありました。

 

が、その中にあっても「KAMIKAZE」です。

 

いかにも日本語由来のグラスに興味を抱く人は多く、

 

「いったいどんなカクテルなの?」と。

 

ヘイウッド・グールドの小説を映画化したトム・クルーズ主演の「カクテル」にも、名前のみながら、

 

いやだからこそ登場したとあっては増々好奇心を刺激された方も多かったのでしょうが、

 

ここで日本のバーテンダーがしっかり調べて、

 

「あんなモノはカクテルでもなんでもないですよ」と斬り捨ててしまえば良かったものを、

 

「あー、あれな?」と分かった風に取り繕ってしまったからさぁ大変。

 

どうやら材料は「ウォッカ」と「ホワイト・キュラソー」と「ライム」を使用するらしいと分かったまでは良しとして、

 

「シューター」という日本のいわゆる普通のBarにあるまじきスタイル、概念が欠如したままでは正解にたどり着けず、

 

シェイクしてみても類似カクテル、例えば「ウォッカ・ギムレット」だの「雪国」だのと差別化もできないし、

 

ただのショートで落ち着かせては、そもそも「バラライカ」だの「スレッジ・ハンマー」でもいいじゃない?って話しです。

 

で、苦肉の策として編み出されたのが、

 

シェークして、なぜか「ロックスタイル」にするっていう、

 

この材料でなんの意味があるの?

 

カブらないってことしか考えてなくない?

 

つか最大の存在意義「シューター要素」はどこいった?(あるいは一気せず上品に大人しく飲んでくれさえすれば良いとでも?)

 

という謎仕様のレシピが提言され、浸透してしまいましたとさ。

 

てなわけで、

 

あとは思考停止した連中が「教科書に載ってるからスタンダードだー」「とりあえず名前が特徴的だからいいじゃーん」を繰り返して今に至る、と。

 

もちろん改造しまくりあげて名前の響きのみを拾い上げ、由来も置き去りにし、

 

すでにシューターですら無いと言ったって、

 

理解が無ければ意味まで消えたわけではないからこそ、

 

今一度冷静に考えてみてくださいよ?って話しです。

 

ドイツで「アウシュヴィッツ」ってカクテルが飲まれてるようなもんでしょ?

 

アメリカに「9.11」てカクテルを持ち込んだらどうなるよ?

 

政治的思想だのを語りたいわけではないけど、決して茶化しているつもりもありません。

 

いやもう逆に聞きたいんだが「カミカゼです」とか平然と出せる日本人バーテンダーの思考って「何も考えてません」は速やかにお帰りいただくとして、

 

いったいどうなってるの?

 

どういう思惑なの?

 

たかが一杯のカクテル、しょせんは酒の名前にこだわり過ぎだと笑いたければ笑えばいいけど、

 

一杯にこだわれなければ、お客様に出すに相応しいグラスか否かの正しい判断ができなければこれ、

 

バーテンダーじゃないと思うのね?

 

てなわけで当店には「KAMIKAZE」なるカクテルは存在しませんし、できればそのようなグラスは健全なBarから消え去ることを望んでおりますのであしからず、

 

というお知らせだったわけですが、

 

まぁ、一番の戦犯は初手からして適当に持ち込んで考えも無く紹介した連中だからこそ、

 

人にモノを説く責任、ってやつが肝要なのですけれども、

 

ちなみに、の話し。

 

今回の記事を書くにあたって、ちょっとネットで検索してみたところ、

 

引っかかったのが日本最大手の某メーカー・サ○トリー様のカクテル紹介ページ。

 

そこにはこんな解説が。

 

「カミカゼ」とは、第2次世界大戦時に日本の戦闘機につけられた名前

 

だって。


おう?見せてみろや?その機体をよう?あ?


って、

 

ねぇ?

 

誰か進言してあげなよ?

 

サン○リーさん、カクテルの説明からコラムから、もはやBarだの酒が関係ないところまで嘘が多過ぎるよ?

 

識者によるチェック機構とか設けたほうがいいんじゃない?

 

ホントつくづく、良識と常識に欠けた業界よねぇ。

 

でもでも、解説記事や、特にコラムなんて委託だろうけど、

 

あんなんでも原稿上げればギャラとか出るんでしょ?

 

テキトーで嘘だらけでもさ?

 

いいなぁ、こちとらタダ働きだぜ?

 

結局、何を成すかよりも、「その椅子」に座れるかどうかなのよね?

 

やっぱ世の中て。

 

やんなっちゃう。

 

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