コンパスボックス「ヘドニズム ザ・ミューズ」
- 2019.04.04 Thursday
- 20:30
新規オープンに際して招集したやんごとなきボトルのお歴々を差し置いて、一息ついたタイミングで遅れてやって来た彼女があんまりにも素晴らしかったので何はともあれご紹介したい、
んが、
その前に、
分母の割には「コンパスボックス」がそれなりに揃っている相変わらずな趣向性を隠すつもりもない酒棚の、
そもそものお話ですよ。
思い返せば最初期にリリースされた「ダブルシングル」や「エルーセラ」(復刻版はNO、虐殺行為もNO)に感動して以来の推しメンではございますが、逆を言えば以降、現在に至るまで、
大きな失望もないけれど大した喜びもない、ましてや「驚き」こそがアイデンティティと言って過言でないはずのブランドに、もはや心動かされることもない、
どころかもうさー、言っちゃうけどさー、近頃のリリースに関してはさー、
ちょっとなんならイラっとさせられることもあったけど、
それでもなお、あきらめきれずに今日まで至ったのは、
期待?あるいは希望だったのでしょうか?
妥協と惰性と未練を背負いながらでも、
信じて待っていた甲斐があったよおめでとうございますありがとうございます。
コンパスボックス「ヘドニズム ザ・ミューズ」
レギュラー商品(いつも転がっているからとはいえこちらも一応LIMITED表記があってその都度中身が変化する限定ボトル扱いなんだけど)である「ヘドニズム」の上位互換であり限定バージョンですが次元が違いすぎるので共通点は「ブレンデッド・グレーン・スコッチ・ウイスキー」なんて存在そのものがマニアックなボトルってことぐらい。
使われている原酒は「インバーゴードン」「ストラスクライド」「ポートダンダス」に「ノースブリティッシュ」。
ってのがスゴイのかどうなのかリアクションに困っても当然のグレーン・ウイスキー達。
全部わかるとか言われたら、それはそれでプリキュアの名前を放送順に一から全部言えますぐらいにちょっと怖い話。
樽も複雑でバーボンだのシェリーだの、合計五種類を使用。
つって、かなり古い原酒を使用しているようですから、計画的に仕込んでいたわけもないならば、ブレンド用にかき集めてきた各々がたまさか色んな樽で寝ていたってことですよねモノは言いようです。
まぁまぁ、んなことがどうでもよくなるぐらい、
美味い。
それはあくまでグレーンですし、香りの部分は若干の物足りなさを感じても致し方ないけれど、
教科書通りに言うところの蜂蜜やマジパンに例えられるフレーバーを幾分高めな53.3度のアルコールが底上げし、加速させ、コクを加味して非常にふくよかかつボリューミーに昇華させてからの、
とにかく「あまーーーーーい」。
甘露。
私的にはまるで小麦由来のあの感じを連想させる、優しくて柔らかい、しかして濃厚、それでいてしつこくない甘みがパレートを玉のように転がり、コクリと一口飲んだならもう「何味か?」と問われれば素直に「うまい味」としか表現できませんのでございます。
長期熟成のブレンデッド・グレーンなんて変化球じゃなきゃ体験できなかったミラクルに感謝。
ありがとう「コンパスボックス」。
モルトでなければウイスキーにあらずな原理主義者様なら無理強いはしないけど、
ウイスキーラヴァーさん、美味しいお酒が飲みたいさんならば後学のためにも経験しておいて損はないと思うの。
いや、ちょっと高いけどね。
あとラベルがカッケー。
エンボス加工が過ぎてもはや3Dなラベルにはスタンダードと同じくして女性の頭がパッカーンの中からパリピが出てきてウェーイしてるけど、
これがさらにパワーアップした様はまるでネオエクスデスかケフカの最終形態。
タコ足まで生えてますけれども「快楽主義」の名を冠するボトルでコレはなんですか?葛飾北斎リスペクトですか?
ついでに言うとケースもカッケー。
普段ならこういうところにコストをかけなくてもいいからもう少し価格を勉強して欲しい、
とか言いたいところなんだけど、
いや、いいよ、素晴らしい。
好きな子には甘くなっちゃうのよね。
惚れた弱味にござんす。